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ベルギー王立美術館展@大阪・国立国際美術館 [展覧会@マグリット]

関西アート三昧:3日目


昨年秋から半年以上にも渡って国内に滞在してくれたベルギー王立美術館の名品の数々。
いよいよお別れの時が近づいてきた(といっても既に1ヶ月も前に終わった訳だが)


大阪展のポスターは、ブリューゲル(一族)という展では
東京&長崎と同じなんだけど、デザインをがらっと変えてきた。

↓大阪展チラシ (ポスターも同デザイン)
  



↓大阪展チケット
  

 
もぎりにまで絵を使われると、もぎられたくない・・・。

それにしても、ここにきて、宣伝にマグリットを使わないなんて予想外。
展示室内の物販だけでなく、ミュージアムショップにも
マグリットのグッズや絵葉書沢山あったから、人気の程は認識してるはずなのに。

東京展のあの鉄道各社の怒涛の「光の帝国」バージョンポスター攻勢、
長崎展のあの「光の帝国」バージョンチラシの出来栄えを踏まえた上で
あえて外したのか、気になってしようがない。
(まあ、ポスターの前で指を咥えて涙を呑む辛さを味わわなかったという意味では
 ほっと出来たんだけど。)

チケットに使われてる絵も、ブリューゲル・パパの「イカロスの墜落」ではなく、
ブリューゲル・息子の「婚礼の踊り」。
あくまで独自色を出したかったのか、この作品こそはという思い入れがあったのかどうなのか、
気になる木になってしまう・・・。
(チラシやポスターにも、読売新聞が「大阪発刊55周年」なんて強調してるし。)

 

まずは国立国際美術館に行く前に、梅田の新阪急ホテル壁面の宣伝を鑑賞。
美術館の最寄駅の1つが阪神の福島駅だから、グループのよしみで宣伝してくれたんだろうか。


 阪神といえば、プリペイドカードを買い損ねたのがちょっと悔しい。
(大阪市営地下鉄のはGET。
 
東京メトロは何故発売してくれなかったんだ!と思っていたら、
 東急が発売していたとごく最近知った・・・。何故に沿線の電鉄ではないのか??

   
↑ 左が阪神電車、右が大阪市営地下鉄のプリペイドカード。

 
さて、移転オープン後初めての国立国際美術館。
まあたいそうな立派な建物で・・・気合?
   
(↑ちょっと色をいじりました。)


実はこの日、当初の予定は、併設のクイーンアリスでベルギー展特別メニューでランチ→鑑賞、
だったのに、うっかりお気に入りの本屋さんで店員さんと1時間以上話し込んでしまい、
ランチは諦めて、取り敢えず空腹をなだめる為にワッフル&ビールを流し込むことに。
ワッフルにあわせるなら甘いクリークの方があうとは思ったけど、余りにも高いので断念。

↑テラス席もあり。


↑ ワッフル&禁断の果実。

 

お目当ての前に、杉本博司の新収蔵作品展を軽く流す。
時間がないので文字通り流しただけだけど、暗いながらゆったりした空間で、
中央に配した柱の列に大作が1点づつかけてある雰囲気がいい。
展示室と作品の空気がすごくあっていてよかった。
が、余韻に浸るまでもなく地下の企画展示室へ向かう。

↑杉本博司の新収蔵作品展
 常設展でもきっちりポスターを作るあたり、気合が感じられる。



さて、今回の展示は・・・。
わりと照明が明るめで見やすいかも。
スペースも広めなのか人が少ないのか、ゆったりした感じ。
日曜日なのに人が少ないのはよいのか悪いのか、自分のペースで観られるのは有難い。

これぞ、という作品は、カラーの柱みたいな枠で囲まれてる。
見て見て!という感じにアピールしてるのは、土地柄なのか、親切か。

それにしても、最後のマグリット、「女盗賊」だけが、他の2点(「血の声」、「光の帝国」)と
離れた壁に掛けてあったのはなぜだろう。
スペースが開き過ぎるからというには、他の2点の脇の空間も余ってたし・・・。気になる・・・。


大阪展は、講演会にコンサート、ファッションショーに映画に落語と盛り沢山のイベントだったのに、
担当学芸員さんのギャラリートークが無かったのだけが残念。
各館の個性の違いが楽しみなのに。

作品の感想は書き出したらキリが無いし(図録見ながらなら素描以外全部書いてしまいそうだ)、
長崎展の時に書いてるので、今回は省略。
そういえば、月一で通った東京展は、一回も記事にしなかった・・・。

なんにせよ、ベルギー美術大好きな身としては、東京、長崎、大阪と、巡回展全部まわれて満足。
(長かった・・・。)
しかし、巡回展詣でが、昨年から今年にかけてのこの展覧会だけに終わらなかったのは大いなる誤算。
国内マグリット展はしばし先にしてもらわないと、体力が持たない・・・。
(なんて書くと、マグリットファンに邪道と怒られそうだ。すみません。)

 

余談だけど、↓は、展覧会チケットの半券で特典ありの展覧会協賛店MAP。
バレル」に「肥後橋ドルフィンズ」と、肥後橋には何故かベルギービール店も集まってるので、
この展覧会にはぴったりの地区だったな~。

とかいいつつ、終わって呑んだくれてたのは、
グラン・ドルフィンズ@心斎橋だったり。
(歩いて行ける距離だし、肥後橋店は休みだったし・・・。)


 有難う、ベルギー王立美術館展と、関係者の皆様!


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シュルレアリスム展-謎をめぐる不思議な旅-@岡崎展 [展覧会@マグリット]

関西アート三昧:初日-愛知県で途中下車 


2007年4月1日(日) ~5月27日(日)
岡崎市美術博物館@愛知県
http://www.city.okazaki.aichi.jp/museum/bihaku/top.html

1ヶ月以上も前に観た展覧会なんだけど、山梨展の前に岡崎展は書いておくべきだ!
と思ったので、今更乍ら感想など。


岡崎展のチラシ↓
  

岡崎展のチケット↓

※ チラシとチケットのデザインは、埼玉展とお揃い。

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「シュルレアリスムと美術」展と 『マグリットの思い出』 ランチ@宇都宮美術館 [展覧会@マグリット]

実は、マグリットの「大家族」購入の経緯から、宇都宮美術館に行くことを長年躊躇い続けていたりした。
          

が、今回は、シュルレアリスムの企画展であり、マグリットの出品もいくつかあるし、
もう一つのシュルレアリスム展が同時開催中ということもあって、足を運んでみた。
  

「シュルレアリスムと美術 イメージとリアリティーをめぐって」展@宇都宮美術館
は、2007年6月17日(日)、つまり今週末迄。
にも関わらず、展覧会の感想を書く余裕がないのだけど、
これだけは終わる前に・・・という今週末限りのねたをば。


展覧会を観る前に、ミュージアムショップの下見をしてから、館内のレストラン「ベラ ヴィスタ」へ。
まずは、会期限定ランチ、「マグリットの思い出にて腹ごしらえ。


■ ビール

 残念ながらベルギービールのお取り寄せはしなかったらしく、イタリアン。
 (※ ランチにビールはついてません。)


■ 前菜

  お皿をパレットに見立てた色合い豊かな6種の盛り合わせ


■ パン

パンとグリッシーニ


■ パスタ 
 
 自家製パスタ ムール貝と小海老とアスパラのクリームソース
 (ベルギー名物のムール貝を使った旬を味わう特製パスタ) 


■ メイン

 牛ロース肉のビール風味 ベルギーチコリのグラタン添え
 (魚を選ぶと、舌平目のセモリナ粉フリット カポナータ添え)


■ デザート

 シュークリームを中心としたデザート盛り合わせ
 (シュルレアリスムでシュークリーム?シュールな駄洒落・・・だそうな・・・)


■ 飲み物

 コーヒー (または紅茶)

お肉はそこそこだったけど、前菜、パスタ、デザートは美味しかった。
腹ごしらえがすんだら、ギャラリートーク前に企画展を一通り鑑賞。


そして14時スタートのギャラリートークに現れた学芸員さんのいでたちは・・・
なんと黒いスーツに山高帽!

(なんてサービス精神旺盛な。折角だから写真撮らせてもらえればよかった・・・。)
軽妙で滑らかな語り口で、聞きやすいトーク。
きちんと解説してくれながらも、理屈に囚われてばかりだとつまらないから、と
固定観念を植えつけない様にと念を押してらしたのが印象的。
絵は観たまま楽しめばそれでいい、でも解説があれば、
自分の知らなかった面白さが加わって倍楽しめるとも思う自分には、その姿勢は好印象。


ちなみに、常設展では開館10周年記念なのか、
開館当時の新聞記事が展示してあるコーナーがあったんだけども、
掲示されてる中に、「大家族」購入に関する批判記事や投書もあったのには、
ちょっと感服した。
ゆったりした展示室もよかったけど、ここでかなりポイントアップ。


ということで、毎回かどうかはわからないけれど、
学芸員さんは、次回のギャラリートーク(土曜日14時~)にも
同じいでたちで登場なさるのではないと期待。
横浜は場所柄混雑しそうな気がするので、ゆっくり観たい方は是非、
宇都宮展へどうぞ。餃子も食べられて一石二鳥(?)です。
(会期末ということで多少混んだりするかもしれませんが・・・。)


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「澁澤龍彦-幻想美術館」展@埼玉県立近代美術館・その壱 [展覧会@マグリット]

「澁澤龍彦-幻想美術館」展
 2007年4月7日(土)~5月20日(日)

 埼玉県立近代美術館



「シュルレアリスム展-謎をめぐる不思議な旅」展に引き続き、
埼玉県立近代美術館にてシュルレアリスムの作品が展示されている。

 チラシ外側↓

 チラシ内側↓


 図録 表紙↓

※この図録、なんと平凡社の発行となっている。図録というより書籍?


構成は以下の通り。
 第Ⅰ室  澁澤龍彦の出発
   Ⅰ-1 昭和の少年 1928~
   Ⅰ-2 戦後の体験
   Ⅰ-3 サド復活まで
 第Ⅱ室  1960年代の活動
   Ⅱ-1 美術家との出会い
   Ⅱ-2 土方巽と暗黒舞踊
   Ⅱ-3 さまざまな交友
 第Ⅲ室  もうひとつの西洋美術史  
   Ⅲ-1 マニエリスムの系譜
   Ⅲ-2 19世紀の黒い幻想
 第Ⅳ室  シュルレアリスム再発見  
   Ⅳ-1 エルンストに始まる
   Ⅳ-2 傍系シュルレアリストたち
 第Ⅴ室  日本のエロスと幻想
   Ⅴ-1 血と薔薇のころ
   Ⅴ-2 青木画廊とその後
 第Ⅵ室  旅・博物誌・ノスタルジア
   Ⅵ-1 ヨーロッパ旅行
   Ⅵ-2 博物誌への愛
   Ⅵ-3 日本美術を見る目
   Ⅵ-4 ノスタルジア
 第Ⅶ室  高丘親王の航海
   Ⅶ-1 ひそやかな晩年
   Ⅶ-2 最後の旅 ~1987



4/8(日)、「澁澤龍彦との日々」と題した対談
(澁澤龍子さん(澁澤龍彦夫人)と
巖谷國士氏(展覧会監修者)のお2人)
を聴く前に展示を観ようと思ったらば、相当のボリュームの為に2時間では足りず、

途中まで鑑賞→対談聴講→途中から鑑賞という変な見方になってしまった。

澁澤龍彦の仕事の全体、その質量を知ることが出来るよい企画だったと思う。
自分の澁澤龍彦に対するイメージといえば、「シュルレアリスムに造形が深い」、「サド裁判」
程度だったのだけど、こんなに広く深く美術を愛し、膨大な数の翻訳、執筆をこなしたこと、
そして人々に愛されたこと等、その興味、仕事の広範囲さ、知識の深さに圧倒された。
この企画は、特に展覧会監修者の巖谷國士氏が澁澤龍彦と親しかったこともあり、
相当力を入れこんだのではなかろうか。まさに回顧展というか、それ以上のものがあったかも。
アーティスト本人ではない人(自分でも描いていたらしいけど・・・)の名を冠した展覧会が企画出来る事、
そして当人をよく知る人が企画に携わる事、ってすごく贅沢で稀有な企画ではなかろうか。


そしてマグリット作品の展示は、
岡崎市美術博物館所蔵の『魅せられた領域』(1968年・リトグラフ)より、 以下4点。
 「大鳥は宝島の鳥で……」 ↓
   
 「若き女性が優雅に姿をあらわし……」
 
   ※画像探し中
 「扉がビロードのような夜に通じ……」
    ※画像探し中
 「魅惑的な海水の船が……」 ↓
   


ちなみに、図録に記載されているのは、以下4点。
(展示替えは無い様なので、予定変更?)
 「大鳥は宝島の鳥で……」
 「魅惑的な海水の船が……」
 「ボンバルドンが炎の花束を放ち……」
 「海岸には2つのりんごの訪問者がいて……」


前述の「シュルレアリスム展-謎をめぐる不思議な旅」展で、
会場の岡崎市美術博物館も姫路市立美術館も持ってるのに
このシリーズが展示されてなかったのは、後続の展覧会を
意識してのことだったんだろうか。

また、第Ⅳ室では、Ⅳ-1でマグリットがシュルレアリストに分類され、
Ⅳ-2でデルヴォーが傍系シュルレアリストに分類されていた。
意外な様な、成程な様な・・・?


と、構成紹介と全体の感想だけで随分スペースを取ってしまったので、
その他の作品の感想は、また後程。

ちなみに、本日は巖谷國士氏の講演会「澁澤龍彦★美術の旅」を聴きに行こうと
思っていたのに、体調不良で断念。
非常に悔しいので、せめて記事だけでも、と書いてみたが、1度では終わらなかった・・・。
(いつも語り過ぎ・・・。)


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「シュルレアリスムと美術 イメージとリアリティーをめぐって」展@栃木、愛知、神奈川 [展覧会@マグリット]


「シュルレアリスムと美術 イメージとリアリティーをめぐって」展

  2007年4月21日(土)~6月17日(日)    
  
宇都宮美術館 @ 栃木県  
                                

  2007年7月3日(火)~9月17日(月) 
  
豊田市美術館 @ 愛知県 
   

  2007年9月29日(土)~12月9日(日) 
  
横浜美術館 @ 神奈川県
   

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シュルレアリスム展 -謎をめぐる不思議な旅- [展覧会@マグリット]

国内所蔵の作品によるシュルレアリスムの展覧会、
「シュルレアリスム展-謎をめぐる不思議な旅-」展



↑チラシ表(ポスターも同デザイン)


↑チラシ裏


出品作家約30人、出品点数約110点とのことで、
会期中の展示替えがあったり、会場により展示作品が異なったするので、 ご留意を。


【会期・会場】
2007年2月21日(水)~3月25日(日)   @ 埼玉県立近代美術館
 (埼玉展感想はこの記事です。) 

2007年4月7日(土) ~5月27日(日)    @ 岡崎市美術博物館@愛知県
 岡崎展感想はこちら
 
2007年6月2日(土)~7月8日(日)     @ 山梨県立美術館
 山梨展感想はこちら
 
2007年7月21日(土)~9月2日(日)    @ 宮崎県立美術館
 宮崎展感想はこちら

2007年9月15日(土)~10月28日(日)  @ 姫路市立美術館@兵庫県
 姫路展感想はこちら


↓マグリット作品展示予定

マグリットの作品も結構あちこちから集められてて、以下の作品を展示予定。
(現時点での予定ですので、変更の可能性もあり。)

■ 全会場にて展示予定

 ≪姫路市立美術館所蔵品≫
  ・ジョルジェット (1935年・油彩)
  ・観光案内人  (1947年・油彩)
  ・幕の宮殿    (1964年・グワッシュ) ※ 期間限定の可能性有
  ・宝石       (1966年・グワッシュ) ※ 期間限定の可能性有

 ≪宮崎県立美術館所蔵品≫
  ・現実の感覚 (1963年・油彩)
  ・白紙委任状 (1966年・グワッシュ)


■ 埼玉のみ展示予定

 ≪広島県立美術館所蔵品≫
  ・人間嫌いたち (1942年・油彩)
   

■ 岡崎、山梨のみ展示予定

 ≪ポーラ美術館所蔵品≫
  ・水滴          (1948年・油彩)

 ≪大阪市立近代美術館(仮称)所蔵品≫
  ・レディメイドの花束 (1957年・油彩)

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■ 追記

埼玉展(当記事)の他、

岡崎展観てきました↓
http://blog.so-net.ne.jp/magrittian/2007-07-02

山梨展観てきました↓
http://blog.so-net.ne.jp/magrittian/2007-08-23

宮崎展観てきました↓
http://blog.so-net.ne.jp/magrittian/2007-08-24

姫路展観てきました↓
http://blog.so-net.ne.jp/magrittian/2007-10-25

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というわけで、埼玉展ももう終わろうかというところで書くのもタイミングが悪いけれど、
とりあえず、今書ける範囲で。

3/3(土)にトークギャラリー開催にあわせて埼玉展を鑑賞。 


↓美術館のある公園入口の看板。いい感じ。


↓公園内も結構いい感じ


↓ 公園内にある埼玉県立近代美術館

 


ここは週末でも比較的すいていてゆったり観れるのがいい。
が、流石にトークギャラリー時は狭いスペースに30人程が団子状態でぎゅうぎゅうなので
作品にぶつかったりなんて事故がないか少々心配に。

日本で「シュール」というとちょっとヘンなもの、不思議なものというイメージがあるけど、
「現実」を真摯に突き詰めていったのがシュルレアリスムだったということを
是非知ってほしい、作品をただ観るのではなく、そこから考察を広げていってほしいと
いう様なお話を伺ったのが、印象に残った。

いつもマグリットの絵を観る時はたいてい何も考えずぼーっと観てるんだけども、
「現実の感覚」を前に担当学芸員さんが仰っていた、
常識/非常識を問う
というか、現実というものを捉えなおす、
それをやらないと面白くないみたいなお話が印象深かった。
一見非常識でも、視点を変えれば常識でも有り得る、と。
「現実の感覚」を例にとって、「岩が浮いてるのは非現実的に見えても、
宇宙から見れば岩が浮いてても何もおかしくない」という説明は、
とてもわかりやすかった。
目から鱗で、ありゃ、自分は全然マグリットをわかってなかったのか、なんて思ったり。

通常シュルレアリストとみなされない(らしい)カンディンスキーの作品や、
タンギーの妻だったケイ・セイジら有名でない(と思われる)シュルレアリスム系作家の作品を
もってきたこと、章立ての構成、前述の学芸員さんのお話から、
シュルレアリスムをどう捉えてどう観せるか、懸命に工夫を凝らして
丁寧につくりあげた展覧会、と感じられた。


・・・といった感じで意外と思ったよりボリュームのある展覧会で、
岡崎市美術博物館のコレクションの質量の充実ぶりに驚いた。
昨秋のコレクション展、我慢したのは勿体無かったかも・・・。


今回はまた、図録の装丁も凝ってていい。
表紙の縦縞模様は別珍の様な布が貼り付けてある。
50部位の限定予約で表紙が黒いファーに覆われてるバージョンもあり。

↓ 図録(表&裏)
  

 

今回、ミュージアムショップにてポスターが300円で販売されてたのには泣いた・・・
(↑嬉しくて&脱力で)。
果たして巡回展のチラシ、ポスターを飾るのはマグリットか否か。
気になる木になる・・・。

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 <おまけ>
ご存知の人も多いかもしれないけど、ここのコインロッカーには宮島達男の作品、“Number of Time in Coin-Locker”がある。
こういう遊び心がある美術館っていい。
とはいえ、自分が使おうと思ったら全部塞がってた、なんて時にそう思う余裕があるかどうか・・・??





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ベルギー王立美術館展 @ 長崎県美術館 [展覧会@マグリット]

昨年末に東京展は終わってしまいましたが、まだまだ長崎展、大阪展と続きます、
ベルギー王立美術館展


 ↑のチラシ、長崎市内の小中学生にのみ配られたレアモノ。
東京展のポスターを観て、「なんでこれでチラシをつくらないんだ」と非常に口惜しい思いを
しただけに、自分が願っていたものが現実に現れたことに感激しまくり。
もつべきものは地元の知人。有難うございました!
(しかし、これは一般にも配らないと勿体無い・・・。すごくいいチラシだと思う。)



↑こちらが一般用。やはり東京に引き続きブリューゲルで。


↑チケット。やはりここも基本のブリューゲルで。


東京で聴き損ねた、長崎県美術館学芸員の福満葉子さんの講演会を聴きに、長崎まで飛んだ。
(ほんとは明治大学教授の森洋子さんの講演会も聴きたかったんだけど・・・残念ながら叶わず。)

  
↑講演会は終わってしまったけど、こんなかわいい案内チラシ(1枚で両面に印刷)つくってました。
 いいですよね。

いや、基本的に遠征はマグリットメインの時しかやらないんだけど、行ってよかった、長崎展!
まず何がいいって、人が少なくて、ゆったり観れること。
東京も激込まではいかなかったけど、長崎ならブリューゲルの「イカロスの墜落」も
マグリットの「光の帝国」もほぼ貸切状態で堪能出来て、自分のペースで思う存分堪能出来るのが
なんたって嬉しい。

土・日と2日連続で行ったにも関わらず、日曜日はギャラリートーク50分を含め、3時間程かけて鑑賞。
こんなに長く一つの展覧会会場に滞在したことって多分初めて。
人が何時間も美術館に滞在したなんて話を見聞きして、そんなに?自分には無理なんて思ってたのに、
まさか自分がそれやるとは思ってもみなかった(疲れて気力が持たない)。
土曜日の講演会、日曜日の14時のギャラリートークの話をふまえてじっくり観ていたら、
16時の臨時ギャラリートーク(この日開催されたコンサート参加者向けで30分程)に
追い越されてしまった。
が、そのおかげで講演会後に聞き漏らしてしまった質問を担当学芸員さんに出来てラッキー。


巡回展をなぜ追いかけるかというと、会場によって空間の雰囲気が変わったりするのが興味深いから。
(会場限定の展示作品があったりもするので、それを追いかけるという側面もあるけど、まず↑。)
ただそれだけだったりするんだけど、今回は巡回展をおいかける醍醐味をしみじみ実感。

今回の展覧会は、ベルギー絵画の歴史を展望するものなので、古典→近代と時代の流れを追って
作品が展示されるのは自明の理というか、展示の流れが自ずと決まってくるものだけど、
そこに担当学芸員さんの個性というものがすごく感じられたのが何とも興味深かった。

時代の流れを追えば、今回の出品作品の中ではシュルレアリスムの絵画が最後に来るのは
当然なんだけど、マグリットがトリなんて・・・とファンはそれだけで感激してしまったり。

今回の展示方法でポイントになるのが、
ヴァレリウス・ド・サーデレールの「フランドルの冬」。
何気ない冬景色なんだけどちょっとブリューゲルを彷彿とさせる。
(ブログとか見てると浮世絵とか東海道五十三次を思わせるという方もいらっしゃる様だけど、
残念ながら自分はそこまで思い至らず。でもいったんこのブログにupしてから見直してみると、
確かに、色遣いというか木のラインというか、そんな風情がある様な気が。
ちょっと大阪でじっくり見直したい・・・。)


↑ヴァレリウス・ド・サーデレール 「フランドルの冬」 1927年

東京展でこの絵がトリだったのを観て、「え?なんでこれがここに?」
(↑年代的にちょっとだけだけどマグリットより前だったので)と思ってしまったのだけど、
担当学芸員の幸福輝さんにお伺いしたら、「最後にブリューゲル的なものを置こうと思って」とのこと。
成る程、ブリューゲルに始まってブリューゲルでしめるのかと感心。
(実際に1番最初に飾ってあったのは風景画で、「イカロスの墜落」は2番目の展示では
 あったんだけども、実質、ということで。)

対する長崎は、時代の流れを追って、シュルレアリスムの前にこの絵を展示。
展示順をちょっと変えるだけで、絵の流れが違和感なく追えてくる。今度は最後にマグリットがトリ。
個人的には折角だからトリの作品は「光の帝国」にしてほしいところだけど、展示スペースの
関係もあるとのことで、トリは「血の声」。
現代美術でもベルギーのアーティストは活躍してる様だけど(最近の動向には疎いので推測)、
ベルギーの、フランドルからの絵画の系譜を考えると、その流れを実感出来るのは
シュルレアリスム迄かなとも思う。
やはりマグリットがトリだと引き締まる様な気がするのは、ファンの欲目か。

サーデレールの「フランドルの冬」。案外この展覧会のキーとなる作品かなという気がする。
作品自体の印象より、周りの作品との兼ね合いが気になる絵って、なんとも微妙で印象深い。


また、東京展では隣り合わせで展示されていた、ルーベンスの「聖ベネディクトゥスの奇跡」と
ドラクロワによるその習作、長崎では展示スペースの関係で、狭いスペースに向かい合わせで
展示されていた。
絵画の同じ箇所を確かめるには左右が反対になってしまうけれども、振り向いて比較出来るのは
見え方(?)が新鮮で案外観やすかった。
東京展で観た時は大きすぎてわかりづらかった両者の絵の持つ雰囲気の違いが、
なんとなく感じられた様な気がした。


↑ペーテル・パウル・ルーベンス 「聖ベネディクトゥスの奇跡」 ?年(16-17世紀)


↑ウジェーヌ・ドラクロワ 「聖ベネディクトゥスの奇跡」 1841年
 

そしてもうひとつの展示ポイントが、ジェームズ・アンソールの「ロシア音楽」と、
フェルナン・クノップフの「シューマンを聴きながら」の配置。
この2つの絵は、クノップフが自分の真似をしたと、アンソールが難癖をつけて孤立を深めるという
いわくつきのものなんだけれど、東京展では、この2枚は並べられていたのでこのエピソードを
念頭に比較出来たのが、長崎展では、角のコーナーに、左の壁に「ロシア音楽」、
そしてアンソールの「怒れる仮面」、右の壁に「シューマンを聴きながら」といった配置で、
間に他の絵が一枚挟まっている。
あれ?と思って担当学芸員さんに尋ねてみると、「並べることによってそれぞれが割をくうから、
敢えて」とのこと。
確かに、エピソードにとらわれすぎて絵を素直に観難くなるという面もあるかもしれないと、納得。
しかしながら、角を挟んでるだけなので、両者を視界に入れて見比べることも出来るという、絶妙な配置。
配慮されてることにまた感心。

  
↑左: ジェームズ・アンソール  「ロシア音楽」 1881年
  右:フェルナン・クノップフ     「シューマンを聴きながら」 1883年

・・・こんな風に、同じベルギーながら、ブリューゲルという「古典」とアンソールという「近代」を専門と
されるそれぞれの学芸員さんの個性が出てくるのって、ほんとに興味深いとしみじみ実感。
このあたりのことは、単に観てるだけではわかりえなかったことで、お話を伺うことが出来て
本当によかったと思う。


この展覧会に関しては、まだまだ語り足りない気もするけど、随分長文になってしまったので、
今回はここまで。
(ちょっと書きなぐった感じで恐縮だけど、校正してたらいつまでもUP出来なさそうなので・・・。)


東京、長崎とまた違った味付けを大阪展で観ることが出来るのか、今から凄く楽しみだ。

ちなみに東京展での講演会等が気になる方は、是非こちらのTakさんのブログをどうぞ。濃いです↓
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=775



・・・大阪も人は多いので、ゆっくり堪能されたい方、長崎展はお勧めです。
美術館も新しくて綺麗だし、ミュージアムショップではなんと94枚もマグリットのポストカードを
揃えて下さってて(感激)、併設の川の上のカフェではベルギービールも頂けます。

↑ミュージアムショップのマグッズ

  
↑左: 美術館のカフェにて、セントルイスプレミアムクリーク
  右: ブリュッセルという名のケーキと珈琲の、カフェケーキセット¥600
     (王立美術館展チケット+カフェケーキセットで¥1550。1日20セット限定。)


残念ながらランタンフェスティバルは今日(3/4)で終わりですが、ちゃんぽん・皿うどんに角煮、
唐墨、海の幸にカステラ・・・。
長崎には美味しいものもタンとあります。春休みに観光も兼ねて、如何ですか?

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 ベルギー王立美術館展 @ 長崎
  2007年1月6日(土)~3月25日(日)
 長崎県美術館
 http://www.nagasaki-museum.jp/


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