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フランク・ブラングィン展@国立西洋美術館 [展覧会@西洋美術]

とにかく素晴らし過ぎる展覧会。
ポスターとチラシからは、ここまで凄い展覧会だとは予想していなかった。 
このよさはおそらく実際に作品を観ないと伝わらないと思う。
印刷物と実物の落差をひしひしと感じた。

恥ずかしながらブラングィンを知らず、西洋美術館の松方コレクションに縁があるということだし観ておこうかな
という程度の気持ちでいてつい延び延びになってしまっていたことを激しく後悔。もっと早く行くべきだった。
1時間半では駆け足になってしまったので、残り2週間のうちに再訪しなくては。
 

フランク・ブラングィン展
http://www.fb2010.jp/main/

【会場】 国立西洋美術館
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/current.html#mainClm 

【会期】 2010年2月23日(火)~5月30日(日)

チラシ↓ 
フランク・ブラングィン展@国立西洋美術館_チラシ表.jpg フランク・ブラングィン展@国立西洋美術館_チラシ裏.jpg

チケット↓ 

フランク・ブラングィン展@国立西洋美術館_チケット半券.jpg  フランク・ブラングィン展@国立西洋美術館_チケットもぎり部分.jpg
暗くてわかりづらくて恐縮だけど、もぎり部分にブラングィンの肖像が。
こういうデザインは、凝ってるなと感心すると同時にもぎられるのが辛い・・・。


図録↓
 
フランク・ブラングィン展@国立西洋美術館_図録.jpg
通常よりお高くて2,700円なのは、気合の入れ具合の反映かと思われ。
それでも、買うつもりなかったのを買ってしまった。



特典案内チラシ↓ 

フランク・ブラングィン展@国立西洋美術館_サービスチラシ表.jpg フランク・ブラングィン展@国立西洋美術館_サービスチラシ裏.jpg

チケット半券でサービスが受けられる飲食店がわりと多く、それも上野に限らない。
その紹介チラシ?だけど、ここにも気合が表れてる。

後援にベルギー大使館の名前があると思ったら、
実はブラングィンはブリュージュで生まれて幼少期を過ごした人で、
ベルギーからの出品作品も多いし、ベルギーを描いた作品も多くて、ベルギー好きには嬉しいサプライズ。
そういう訳で、ベル・オーヴ&デリリウムカフェベルジアン・ビアカフェ
2つのベルギービール系列店でも特典が受けられる。
やはりもっと早く知っておくべきだった・・・。



20100514_フランク・ブラングィン展@国立西洋美術館 002.jpg  20100514_フランク・ブラングィン展@国立西洋美術館 004.jpg
国立西洋美術館門前にて。
 

DSCN8830.jpg
建物入口にて。


DSCN8832.jpg
展示室入口へ降りる階段の上。


DSCN8836.jpg
展示室直前のロビーにて。
写真撮影可なのはここまで。


観始めてのっけからその画力のレベルの高さに驚かされたのだけど、
いきなりこんな工芸品が登場する。


フランク・ブラングィンによるデザイン ポール・テュルパン社製造 「版画キャビネット」 1910年頃FGデザイン 「版画キャビネット」 1910年頃 .jpg※画像は部分
版木の様な、寄木細工の様な。
この細かな芸当は、やはり実物を観て頂かなくては。


「音楽」 1895年 油彩
FG  「音楽」 1895年 油彩.jpg
このタッチの上手さをなんと表現していいのか、的確な言葉が見つからない。
細か過ぎず粗過ぎず、太めの筆致でざっくり輪郭(というより形状?)を
捉えているというかなんと言えばいいのか、とにかく上手い。


「海賊バカニーア」 1892年 油彩
フランク・ブラングィン 「海賊バカニーア」 1892年 油彩.jpg
メインの色は、どちらかというと暗いぐらいの暖色が多かったりして、
けして派手な色使いでもないのに、明るく鮮やかな画面が広がる作品が多いけど、
中でも一際明るい作品。
地下に降りた最初の展示室に並ぶ油絵はどれもよくて、幸せな空間だった。


「白鳥」 1920-21年 油彩

FG 「白鳥」 1920-21年 油彩.jpg
油彩で一番のお気に入りはこの作品。
白い羽への木漏れ日の繊細な描写に明るく鮮やかなオレンジと黄色がとても映える。

「慈愛」 1900年 油彩
FG  「慈愛」 1900年 油彩.jpg
暖色の明るさとは一転、くすんだ微妙な色合いで独特の風情をも醸し出す。


「ヘント国際博覧会の壁面装飾のための習作<造所>」 1913年頃 木炭、色チョーク

「ヘント国際博覧会の壁面装飾のための習作<鋳造所>」 .jpg
これはパステルではないけれど、パステル画もこんな調子で上手い。
多芸だけど、ほんとに何をやらせても凄い。
 

「若者の功名心」 1917年 リトグラフ
FG  「若者の功名心」 1917年 リトグラフ.jpg
リトグラフを作っても、余白を活かした佇まいに情感が漂う。


「アルビの古い橋」 1916年 エッチング
FG 「アルビの古い橋」 1916年 エッチング.jpg
構図と光の描写も目を引くけれど、特に雲の白の色調に感嘆。

「ヘントの古い家」 1906年 エッチング
FG  「ヘントの古い家」 1906年 エッチング.jpg 
エッチングでこのほの暗い光の色調を段階的に表現する描写力には脱帽。
凄すぎる。



そしてここからが木版。
日本人とも交流が深かったブラングィンは、彫り師且つ摺り師の漆原由次郎と組んだ木版画を
幾つか残しているのだけれども、これが素晴らしいのなんのって。


フランク・ブラングィン原画/漆原由次郎彫り、刷り 「ブリュージュのベギン会修道院」 1919年 多色木版
FG原画/漆原 彫刷「ブリュージュのベギン会修道院」.jpg
なんともいえない味わいの宵闇の蒼に、ぽっと明かり灯っている風情がなんとも堪らない。

フランク・ブラングィン原画/漆原由次郎彫り、刷り
「ブリュージュのベギン会修道院」 1919年 多色木版

FG原画/漆原 彫刷 「ブリュージュのベギン会修道院」 1919年 多色木版 .jpg 
上の版画と同じ版木を使用したもの。
色を変えるだけで雰囲気は変わるけれど、
この背景の薄くやわらかな描写がセピアの色にマッチして
独特の空気感を感じさせる。
それにしても、こんな摺り方が出来るとは。
掘り師のこの技術力には言葉がない。


フランク・ブラングィン原画/漆原由次郎彫り、刷り
ローレンス・ビニョンによる詩 「詩画集『ブリュージュ』」 より6点組
1919年 多色木版

 「ブリュージュのヤン・ファン・エイク広場」

詩画集『ブリュージュ』「ブリュージュのヤン・ファン・エイク広場」.jpg

 「ブリュージュのヤン・ファン・エイク広場の恋人たち」
詩画集『ブリュージュ』「ブリュージュのヤン・ファン・エイク広場の恋人たち」.jpg

 「ブリュージュのフローネ・ライ」
詩画集『ブリュージュ』「ブリュージュのフローネ・ライ」.jpg

 「夜明けのブリュージュ」
詩画集『ブリュージュ』「夜明けのブリュージュ」.jpg

 「ブリュージュのポッテリーライ」
詩画集『ブリュージュ』「ブリュージュのポッテリーライ」.jpg

 「ブリュージュのプレディクヘレン橋」
詩画集『ブリュージュ』「ブリュージュのプレディクヘレン橋」.jpg
・・・もう、ベルギー好き、浮世絵好き、青好きには堪らない6枚組。


フランク・ブラングィン原画/漆原由次郎彫り、刷り
「版画集『漆原彫り、フランク・ブラングィンのスケッチ・ブック』」
1940年 出版 多色木版
     第13集     /     第15集
「版画集『漆原彫り、フランク・ブラングィンのスケッチ・ブック』 第13集.jpg 「版画集『漆原彫り、フランク・ブラングィンのスケッチ・ブック』 第15集.jpg
これだけのものをつくる一方で、以下の様な軽妙なタッチのものも。
水彩ペンでさらさらっと描いたかの様なタッチが木版だとは、
本当にとんでもない掘り師だと感心するばかり。


巡回しないなんて、本当に勿体無い!


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いっぷく

スケールの大きな天才芸術家ですね、技量もさることながら
どの作品をみても非凡な才能が表れていますね、
それにしては知名度がいま一つなのは不思議なほど。
by いっぷく (2010-05-27 15:41) 

m25

国立西洋美術館の松方コレクションのことは耳にしていても、
ブラングィンのことは知りませんでした。
・・・と思っていたら、ずいぶん前に国立西洋美術館常設展で版画特集を
観ていたことが2、3日前に判明しまして、冷や汗かいています。

生まれ育ちはベルギーですが、英国の人なんですよね。
日本では知られていなくても、そちらではやはり知名度が高いのでしょうか。
by m25 (2010-06-01 02:34) 

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