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没後50年 モーリス・ド・ヴラマンク展 <後編> [展覧会@西洋美術]

 没後50年 モーリス・ド・ヴラマンク

■ 東京展
会場: 損保ジャパン東郷青児美術館
会期: 2008年4月19日(土)~6月29日(日)
 
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/program/index.html

■ 大分
会場: 大分県立芸術会館
会期: 2008年7月8日(火)~8月17日(日)
http://geijutukaikan-b.oita-ed.jp/exhibition/project/20080709.html

■ 鹿児島
会場: 鹿児島市立美術館
会期: 2008年10月3日(金)~11月3日(月・祝)
http://kagoshima.digital-museum.jp/artmuseum/index.html
 


前編からの続き↓

≪3≫ スタイルの確立~ダイナミックな風景  1919年頃 - 1958年


↓ 1919-20年「風景」
ヴラマンク・1919-20年「風景」.jpg 
水彩の透明感、藍とも緑ともつかない色の
奥行きの深さにひきつけられた作品。
この色合いは多分、直に観ないと伝わらないかと思う。
(セザンヌ風なのかもしれないけど、年代的にこちらの章だと判断。
 間違ってたらすみません。ていうか、判断力なくてすみません。)



↓ 1920年「教会」
ヴラマンク・1920年「教会」.jpg
ちょっとおどろおどろしい感じがする故に気になる作品。


↓ 1922年「雪に覆われた村の道」 / 1924年「オーヴェール=スュル=オワーズの雪」
ヴラマンク・1922年「雪に覆われた村の道」.jpg     ヴラマンク・1924年「オーヴェール=スュル=オワーズの雪」.jpg    

↓ 1925年「雪景色」  / 1934年「雪の道」
ヴラマンク・1925年「雪景色」.jpg  ヴラマンク・1934年「雪の道」.jpg
ヴラマンクの雪、白をまとめて。
雪の質感、筆致もだけど、陰鬱な空が印象的(かなり好み)。



↓ 1938年「鯉」
ヴラマンク・1938年「鯉」.jpg
鯉図好きのテンションを上げた作品。


↓ 1942-43年「パンと鍋のある静物」
ヴラマンク・1942-43年「パンと鍋のある静物」.jpg
でも食べ物はそんなに旨そうには見えず。残念。



↓ 1937年「冬のスノンシュの森の木々」 / 1942-43年「林檎の木とかむら麦の畑」
ヴラマンク・1937年「冬のスノンシュの森の木々」.jpg    ヴラマンク・1942-43年「林檎の木とかむら麦の畑」.jpg 
もう樹の質感とか、空の微妙な青さとか、差し色とか、堪らないものが。

↓ 1954-55年「下草と夕陽」
ヴラマンク・1954-55年「下草と夕陽」.jpg
ちょっと時代が下るとこんな燃える様な景色。
何気に風景の中の赤って好きなので、これまた堪らない。



そんないいもの揃いの中、一際印象的なのが次の作品たち。


↓ 1950年「雷雨の日の収穫」 / 1950年「積み藁」
ヴラマンク・1950年「雷雨の日の収穫」.jpg   ヴラマンク・1950年「積み藁」.jpg
ゴッホを思わせる強烈な色彩、筆致。
この小さい画像だと色が濃い程度にしか見えないけど、
実物は蛍光色かと思う様な鮮やかな橙色や黄色。
インパクト強すぎで、吸い寄せられてしまう。

個人的に欲をいえば、もう少しだけ両作品の間隔をつめて、
一目で視界に入ったら嬉しかった。
(折角なら次の作品も含めて一望したかったかな。)



↓ 1950年「作物貯蔵庫」
ヴラマンク・1950年「作物貯蔵庫」.jpg
上2作品をいつもの風景画に転用した感じがして興味深い。


・・・と、もうヴラマンクらしさ全開のところにきて、
最後の〆が、リトグラフ連作。

↓ 1958年 12点連作のグワッシュ「春」によるリトグラフ 

 ・「プレヴィリエ、春」 / 「ティムレの村、春」
ヴラマンク・1958年 連作リトグラフ「春」a 「プレヴィリエ、春」.jpg ヴラマンク・1958年 連作リトグラフ「春」b 「ティムレの村、春」.jpg

 ・ 「ラ・マンスリエール、春」 / 「雪の中の藁家、春」
ヴラマンク・1958年 連作リトグラフ「春」c 「ラ・マンスリエール、春」.jpg ヴラマンク・1958年 連作リトグラフ「春」d 「雪の中の藁家、春」.jpg 

 ・ 「ラ・フリッシュ=デ=ボワ、春」 / 「小さな踏切、春」
ヴラマンク・1958年 連作リトグラフ「春」e 「ラ・フリッシュ=デ=ボワ、春」.jpg ヴラマンク・1958年 連作リトグラフ「春」f 「小さな踏切、春」.jpg

 ・ 「麦の積み藁、春」 / 「タルデの近くの森林看守の家、春」
ヴラマンク・1958年 連作リトグラフ「春」g 「麦の積み藁、春」.jpg ヴラマンク・1958年 連作リトグラフ「春」h 「タルデの近くの森林看守の家、春」.jpg

 ・ 「ジョドレの家、春」 / 「クルテイユのアヴル川、春」
ヴラマンク・1958年 連作リトグラフ「春」i 「ジョドレの家、春」.jpg ヴラマンク・1958年 連作リトグラフ「春」j 「クルテイユのアヴル川、春」.jpg

 ・ 「小さなプレシ村、春」 / 「クルテイユの教会、春」
ヴラマンク・1958年 連作リトグラフ「春」k 「小さなプレシ村、春」.jpg ヴラマンク・1958年 連作リトグラフ「春」l 「クルテイユの教会、春」.jpg
ヴラマンクの荒々しい筆致がフラットになっているのと
暗い様でいてどこか温かみのある色彩が
穏やかさに加えて明るさすら醸しだしていてとても印象的だった。



・・・と余韻に浸っていたら、突然常設展コーナーに入って面食らった。
そして特別室にうやうやしく鎮座する
セザンヌの「りんごとナプキン」、ゴッホの「ひまわり」、
ゴーギャンの「アリスカンの並木路、アルル」を拝んで帰ってきた。

いやもう、ほんとよかった。
ヴラマンクといえば、「フォーヴの人」、「佐伯祐三をアカデミック!と叱咤した人」
ぐらいの認識しかなかったのに、こんなに自分好みの画家だったとは。

見逃さずにすんで、ほんとによかった。いい評判を広めてくれた人達に感謝。
そして画像が小さいことを陳謝。
(あまり重くなるといけないので敢えて小さい画像にした為、
 実物とは受ける印象がかなり変わるかも。)


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コメント 4

はろるど

こんばんは。TBをありがとうございました。前編後編とも愉しく拝見させていただきました。また詳細な図版も嬉しいです。私も図録を購入しましたが、展示の記憶がまた蘇りました。

比較的初期作より、丁寧に作品を紹介する好企画でしたね。会場の入りを見ると、ヴラマンクはあまり人気のある画家ではなさそうですが、荒ぶる心象風景という感じは私も本当に大好きです。
欲を言えばもう少し評判になると嬉しかったのですが、
まずはこれだけまとめて拝見出来たことを美術館に感謝したいと思います。
by はろるど (2008-08-07 21:56) 

m25

>はろるどさん
TB&コメント有難うございました。

SNSや知人の評判を聴いて観に行くことにしたのですが、
世間ではあまり評判になっていなかったのでしょうか。
でも確かにチラシやポスターを見ただけでは観に行かなかったかもしれません。
予想以上にいい展覧会でしたし、観に行ったあとだといいチラシだ、と思うのですけれど。
巡回先が少ないのも勿体無いですね。各地くまなくまわって欲しかったところです。

そうそう、本文に書こうと思って忘れていたのですが、
こちらに会場内の写真が載っていました。こういう記録が残るのは有難いです。

東京アートレビュー
http://www.japandesign.ne.jp/HTM/REPORT/art_review/51/index.html

by m25 (2008-08-08 13:30) 

いっぷく

飾っておいて毎日何気なく見ていたい絵ばかりです。
よく外に出て描いていた人なんですね、空の表現も
興味深いです。
by いっぷく (2008-08-08 20:26) 

m25

>いっぷくさん
作品によっては、こちらの心身というか気力が充実してないと
作品の持つパワーに気おされてしまいそうですし、尚且つ
いいと思う作品が目白押しなので、飾るならこの1枚、というのを
選ぶのは難しそうです。

by m25 (2008-08-09 02:44) 

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