SSブログ

ギメ東洋美術館所蔵 浮世絵名品展@大阪-其の弐 [展覧会@日本美術]

関西アート三昧:2日目


先日、図録が見つからず、てれっとした記事書いてしまったのに、
翌日になってあっさり出てきたので、折角なので少々図録頼りの感想を懲りずにプラス。


↓図録
両面表紙な勢い。
表紙はビニールコーティングでもしたかの様なつるつるの光沢。
画像ではそれを伝えられないのがもどかしい・・・。

  

ちなみにこの虎と龍、図録でも仲良く見開きで左右に並んでるんだけど、
その両頁とも二つ折になってて、開くとそれぞれのアップのピンナップ状態。
図録を切るなんて勇気が無い限り飾ることも出来ないんだけど、
こういう気合は結構好き。


肝心の浮世絵、美人図とかのイメージが強いけど、
どうも人を描いたものにはあまり興味がわかないのか、
印象に残ったのは動物物ばかり。



↓歌川国貞 (虎)

色合いなんかはもう、実物を観て下さいとしかいえないんだけど、
なんか惹きつけられて、離れては戻ったりした作品。
つい虎の絵に目がいく様になったのは、芦雪の虎のせいかな。

 

歌川広重 (旭日松に鷹)

眼光鋭く迫力があるのに、
同時に何故かわいく感じてしまうのはどうして??


岳亭五岳 (水辺の三匹の蟹)


蟹もいるとは予想外だったけど、なんだかほのぼのして微笑ましい。
背景の水とか、甲羅のグラデーション具合とか何気に細かい。


岳亭五岳 (白梅に蟹)

蟹と梅ってどういう組合せ??
なんだか斬新?


↓葛飾北斎 (芙蓉に雀)

北斎は植物+虫(鳥)の連作がいくつか並んでた。
彼がこういうシンプルなのも作ってたとは知らなかったけど、
これはこれで味があるというか、随分違った印象。


↓葛飾北斎 (朝顔に蛙)

これも連作の一つなんだけど、どこに蛙が??となかなか見つけられず。
なんか騙し絵みたいで妙に気になる作品。
あっさりぺったりした葉の感じもなんだか好み。


 

ちなみに、蛙君は・・・↓

擬態?



↓葛飾北斎 「海老図扇面」

そしてまた、こんな。
すっと運んだ様な筆捌きにはほれぼれ。
ほんとに、色んな技を持つ芸域の広さにはただただ感心するばかり。
“葛飾北斎=富嶽三十六系”って、彼のほんの一部だったんだなあ。
 

前回鯉にほれぼれしたなら、触れぬわけには・・・ってんで、鯉三品。

歌川貞秀 「魚づくしの内 もいでこい」


なんて迫力のある団扇なんだか。
色の濃さが力強くて渋い・・・。


渓斎英泉 (藻中の鯉)


正面(?)から簡潔にどんと。
背景の色のかすれ具合と水草、もう一度肉眼で確認したい・・・。


渓斎英泉 (鯉の滝登り)


青の背景に赤っぽい体は存在感充分。
こういう手拭があれば、インパクト充分だろうな~。

・・・と生き物ばかり載せまくったけど、よい品はそればかりではない訳で。

二代歌川広重 「東都六夜盛 墨田堤夜桜」


浮世絵でこういう色使いがなされるなんて、思ってもみなかった。
闇夜をまんま墨で表現してるだけでも目をひくのに、この青と墨の濃淡の加減。
堪らん、というか、これが団扇ってどんだけ贅沢?!

 歌川広重 「近江八景之内 唐崎夜雨」

そしてこちらはもう、樹の霞み具合がもうなんというか、言葉もない。
雨をここまで細やかに表現しますか、というセンスと技術にはもう感服。

 

・・・こうしてみると、葛飾北斎を再発見して、歌川広重(と一族)にほれ込んじゃってる感じかな。
あれ、写楽と歌麿はどこに?


しかし、やっぱり、絵は生で観ないと、とつくづく思わせられた展覧会だった。
(図録の大切さも・・・。)
青のグラデーションの美しさなんてほんと、画像では伝えきれない・・・。

 


nice!(2)  コメント(5)  トラックバック(1) 
共通テーマ:アート

nice! 2

コメント 5

いっぷく

歌川国貞のトラは実際のトラより感じが出ている印象、
毛並みも渦巻いたりしちゃってトラの内面描写か。

カニの絵はあまり見ないですが、姿がとてもユニークなので
絵の題材としてはいいと思うのですが。

ロンドン、ナショナルギャラリーの常設展示にゴッホのカニの絵がありますが、これもまたいいです。

北斎の観察力と表現力はずば抜けているので生で見れるのはすばらしいですね。
by いっぷく (2007-07-20 18:01) 

m25

⇒ いっぷくさん
 国貞の虎、本物よりらしいですか。
 毛の渦巻きの表現まで読み取ってませんでした。
 他の人の感想ってためになります。

 蟹も・・・絵は普段見かけない気がします。
 え、浮世絵に蟹もあるんだ・・・と意外でした。
 ゴッホも蟹・・・てことは、ヨーロッパでも蟹食べてるんでしょうか。
 洋食の蟹なんてイメージ出来ないです。海老はそうでないのに。

 やっぱり絵は生に限ると思いますが、
 保護の為に照明が落としてあると、本来の色はどんなんだろうとやきもきします。
 でも浮世絵あたりの日本美術は、フランスに限らず、イギリスやアメリカでも
 堪能出来そうですね。
by m25 (2007-07-23 01:42) 

Tak

「朝顔に蛙」最高!!

素敵な画像たくさんアップしていただき
有り難うございます!
見られなかった作品もこちらで
堪能させていただけました。
by Tak (2007-07-23 23:22) 

いっぷく

m25さん、カニの絵のリンク貼っておきます、見れるでしょうか。

http://www.nationalgallery.org.uk/cgi-bin/WebObjects.dll/CollectionPublisher.woa/wa/largeImage?workNumber=L995&collectionPublisherSection=work
by いっぷく (2007-07-24 08:33) 

m25

>Takさん
 ちょっとスキャンが綺麗に出来なかったのもあって、恐縮ですが、
 こちらに載せた画像で楽しんで頂けたなら嬉しいです。
 展示替は、ちょっと辛いですよね。

>いっぷくさん
 有難うございます。見れました。
 この蟹も、浮世絵の影響だったりするんでしょうか。
 なんだかシンプルにごつい絵ですね。ゴッホらしい様なそうでもない様な。
by m25 (2007-07-25 10:43) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。