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こんぴらさん参り・其の伍@「書院の美」展 [展覧会@日本美術]

 

 「書院の美」展@金刀比羅宮

・こんぴらさんサイト↓
http://www.konpira.or.jp/event/2007_the_traveling_exhibition/index.htm

・展覧会公式サイト↓
http://www.asahi.com/konpira/


■香川展
 2007年10月1日(月)~2008年1月31日(木)
  前期: 2007年10月1日(月)~2007年12月2日(日)
  後期: 2007年12月29日(土)~2008年1月31日(木)
 @金刀比羅宮

 ■東京展
 2007年7月7日(土)~9月9日(日)
 @東京藝術大学大学美術館

■三重展
 2008年4月26日(土)~6月8日(日)
 
@三重県立美術館

■フランス展
 2008年10月15日(水)~12月8日(月)
 
@フランス国立 ギメ東洋美術館
 ・こんぴらさんサイト上の展覧会情報↓
 http://www.konpira.or.jp/info/0010/guimet.html
 ・日本語(メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランス)の美術館情報↓
 http://www.museesdefrance.org/museum/special/backnumber/0711/special01-03.html


↓豪勢なチラシ

 


↓チケット
   
ちなみに右は東京藝大の時のもの。
微妙に違うんだな。
でも、数々の間といい、このチラシといい、応挙の存在も消して若冲に劣らないのに、
どうしてキャッチフレーズは「若冲はこんぴらさん」なんだろう。
応挙カワイソウだよ・・・。

と、前置きが長くなったけど、来ましたよ、こんぴらさん!
・・・と張り切って奥社まで行ったはいいものの、展覧会に朝一で突入の予定が昼前になってしまい、
神椿でお茶するどころか、肝心の展覧会を全部観てまわれるかすら危うくなってしまった。

なので、

こっから入って、
DSCN3389.jpg

田窪恭治氏作のタイルだけみて、
DSCN3388.jpg

DSCN3387.jpg

あっちから出てきて、
DSCN3390.jpg


いざ、参らん。
DSCN3204.jpg DSCN3207.jpg

この素晴らしい展示空間を写真に収められないのは残念な限りだけど、
HPやチラシで存分に喧伝してくれてるのは嬉しいところ。


【表書院】
http://www.konpira.or.jp/museum/shoin/shoin.html

まず最初に目にしたのが、円山応挙の「鶴之間」
http://www.konpira.or.jp/museum/shoin/permanent/section/crane.html
残念ながらここは室内には入れてもらえず、
入り口から覗くのみだったのだけど、にも関わらず、
何故か感極まってしまった。

そしてお次は応挙の「虎之間」
http://www.konpira.or.jp/museum/shoin/permanent/section/tiger.html
こちらは室内に入ることが許され、
人の出入りの狭間のほんの一瞬ながらも
独り占めで鑑賞することが出来たりして、
まさに本来の姿をそのままに鑑賞出来るなど贅沢の極み。
自然と背筋を伸ばして正座してしまう。

続く応挙の「七賢の間」
http://www.konpira.or.jp/museum/shoin/permanent/section/7wisemen.html
賢人の顔が汚されているのがうっすらと確認出来、微妙な気持ちに。

応挙続きの最後を飾る間が、「山水之間」と「上段之間」
http://www.konpira.or.jp/museum/shoin/permanent/section/sansui.html
床の間を激しく流れる滝の水が、ゆるやかに流れ最後に庭へと注ぎ込む
発想には感嘆するばかり。

応挙の次は、邨田丹陵の「富士一之間」と「富士二之間」
http://www.konpira.or.jp/museum/shoin/permanent/section/huji.html
「富士一之間」は、応挙の滝に同じく、
室内の空間いっぱいに富士の裾野の広がりを感じさせる間。
余計な装飾が無く、墨の濃淡ですっと描ききった風情がよい雰囲気。

「富士二之間」は、富士ではなく源頼朝一行の鹿狩が描かれていて、
こちらは細かな筆遣いで襖いっぱいに鹿や馬が駆け巡ってた。
こちらの間では「富士山杉樹図屏風」(後期のみ、
前期は「源氏物語図屏風」を展示)も畳の上に。

 

書院内部は撮影不可でも、嬉しいことにお庭の撮影はOKだった。

ここ↓は蹴鞠用の庭。
DSCN3392.jpg
四隅に植えられている樹は四季を表し、
どの樹も二股に分かれている。
これは神聖な場であるが故で、この二股の部分に神が降りて来る、
というお話だった(、確か)。

DSCN3400.jpg

DSCN3407.jpg  DSCN3414.jpg 


ところで書院内の廊下の突き当たりに穴の開いた貨幣で作った鳥の親子の絵があって、
雉だったか鶏だったか忘れてしまったのだけど、その細工の見事さが凄く印象的だった。
寝かせてみたり立ててみたり、ここも貨幣なの?!と驚くばかり。
なのにこんぴらさんのサイトでは情報が見つからない。写真だけでもまた見たいのに。

 

【奥書院】
http://www.konpira.or.jp/museum/oku_shoin/index.html

通常非公開の奥書院。
若冲の「花丸図」岸岱の「水辺柳樹白鷺図」がある。
「花丸図」の襖に囲まれることが出来るのかと
期待に胸を膨らましまくりで行ったのだが、それは叶わず・・・無念。

「花丸図」のある上段の間に座ることは出来ないとはいえ、
「花丸図」の手前の襖は外されて別途展示されているので、
思う存分近寄ることが出来る。
上段の間の方の襖は鑑賞位置から奥の方に少しばかり離れている上に、
ほのかに薄暗いので細部を間近で観たい衝動に駆られる不完全燃焼な
思いにとらわれつつ、つい入口で正座して留まってしまう。
東京での展示では他の襖等の複製には違和感ないどころか騙されたくせに、
花丸図だけは、複製とはいえ正に囲まれる、ということが可能だったにも関わらず
何故か全く気分が盛り上がれなかったのを思えば、
そのあるべき姿を垣間見れただけでも、やはり有難い。
光が当たって金がまばゆく煌く様なんて観たら、悶絶するだろうな・・・。

百科事典の如き蝶の乱舞に飛び立ち舞い降りる白鷺の様など、
岸岱もかなりな力量だと思うのだけど、若冲への入れ込み具合が邪魔をするのか、
どうしても若冲>岸岱に感じてしまう。
先入感ってよくないよな、と思うのだけれど・・・。

163年ぶりの里帰りという、(伝)若冲の燕は、障壁画の形で観られるのかと
期待していたら、断片だった。
若冲らしい様な、そうでもない様な、消え入りそうなほど儚げな燕だった。
(後々見ると、リストにも「飛燕図断片」と明記してあった。)


【白書院】
http://www.konpira.or.jp/museum/tsubaki/0012/tsu-ba-ki.html

こちらも通常非公開だそうで、現在は金刀比羅宮文化顧問の
田窪恭治氏が障壁画「椿」の制作中で、その作成中の画を観ることが出来る。
この障壁がにちなんで椿書院と呼ばれる様にもなったとか。

パステルっぽい独特のタッチは面白いと思うけど、
残念ながらその良さがよくわからず。この画風は書院にあうんだろうか・・・。


【高橋由一館】

http://www.konpira.or.jp/museum/yuichi/yuichi.html

DSCN3421.jpg
3階では「神椿展」が開催中で、新茶所「神椿」関連の習作や模型等、
こちらでも田窪氏の作品が展示されていて、
1階の常設展示では、高橋由一の作品が展示されていた。
(上記リンク先のページに高橋由一の展示作品画像へのリンク有り)

DSCN3424.jpg こんな素敵な特大ポスターが。


日本近代洋画の祖とのことだけど、実は有名な「鮭」の作者だったとは知らず。
自ら絵を奉納したり、宮司が絵を購入したりと、こんぴらさんとの縁も深かったらしい。
そんなに好みのタイプではないかなと思ったけれど、
小襖仕立の「月下隅田川」は“青”好きを惹きつける情緒があって、印象に残った。


【宝物館】
http://www.konpira.or.jp/museum/houmotsu/houmotsu.html
(上記リンク先のページに展示作品のリスト有り)

DSCN3428.jpg

DSCN3431.jpg 各館の入口には巡礼用の杖置き場も。

とても素朴でこぢんまりとした簡素な展示室。
1階は絵巻や掛軸等の日本画、2階には仏像等が展示されていた。
何気に長澤蘆雪の「鯉魚図」や司馬江漢の「扇面旭日鶴亀図」、
狩野尚信の「出山釈迦並梅竹図」(三幅対)が展示されているのがすごい。
他にも色々持ってるのか気になるところ。


【金毘羅庶民信仰資料収蔵庫】

DSCN3430.jpg
こちらでは「こんぴらさんの刀」展開催中なんだけど、
何故か「書院の美」展チケットは、書院のみか
書院+高橋由一館+宝物館の5会場、
もしくは書院以外の2会場どちらかの単独になっていて、
刀展だけ別扱い(料金)になっていた。
時間もないし刀はわからないのでスルー出来て結果オーライなんだけど、
どうせならセットに入れてしまえばいいのに、何故別にしたんだろうか。


昼過ぎの特急を予約している為、泣く泣くさぬきうどんを諦める。
お土産でも売ってるけど、現地で食すからこそ意味と味わいがあるのに、
讃岐に来ながらうどんを食べずに帰る己の邪道さに涙しながら、
せめてもと参道中のお土産屋さんで地ビールを生で頂く。
生ビールとおつまみで800円だったか。

DSCN3458.jpg  DSCN3456.jpg
しっぽりした生(!)の燻製に柚子胡椒のピリ辛さがオツ。
(ああ、うどん・・・。)


折角の機会なのに、兎に角駆け足の鑑賞になってしまったのは不徳の致すところ。
(大阪でも展覧会を観たかったからだけど、それは後から東京で観る事が出来たというオチ。
 ゆっくり堪能してくるべきだった、ほんとにお馬鹿である。
 このマイナスな運手繰り寄せる我が身が恨めしい。)

さよなら、こんぴらさん。また来れるかなあ・・・。
DSCN3469.jpg
地ビールのと同じタイプ(味)だった・・・。

 

大阪に辿り着いたら、朝日新聞のビルにこんな横断幕が。
行ってきたばかりですよー。
DSCN3544.jpg

 


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いっぷく

もうこれ以上、超えられないような美しさもある書院ですね。
このような空間を創造するのは、現代人もこれからの日本人にも
この表現はできないでしょう。瀑布図には圧倒されます。



by いっぷく (2008-03-19 08:46) 

m25

>いっぷくさん
この豪華絢爛さと発想(アイデア)は、ほんと文字通り脱帽です。
溜息が出るばかり。

ちょっと遠出かもしれませんしまだ先ですが、
是非フランス展に足を運んでご覧になって頂きたいです。
美術館が会場でも、和室の雰囲気を再現する形式で展示されてましたので、
おそらくフランスでも同じ様に展示するでしょうから、雰囲気堪能して頂けるかと。
(流石に畳に座った状態は無理ですが・・・。)

あの襖絵達が海を越えるんだと思うと、感慨深く感じられます。

by m25 (2008-03-20 02:00) 

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