SSブログ

山水に遊ぶ展・前期@府中市美術館 [展覧会@日本美術]


 山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年 展@府中市美術館

2年前の開催ながら未だ記憶に新しい「動物絵画の100年」を単独開催した
府中市美術館が(おそらく)自信をもって開催した今回の「山水に遊ぶ」展。
「動物絵画の100年」での通常の倍サイズ2つ折チラシを超え、
チラシに所狭しと並ぶ傑作の数々。

動物絵画の100年展の感想はコチラ↓
 ・動物絵画の100年・前期@府中市美術館
 ・動物絵画の100年・後期@府中市美術館
 ・「動物絵画の100年」展・おまけ


 
【会期】 前期 : 2009年3月20日(金・祝)~4月12日(日)
      後期A: 2009年4月14日(火)~4月26日(日)
      後期B: 2009年4月28日(火)~5月10日(日)
      ※展示替リスト(展示作品リスト) ↓
      
http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/sansui/files/sansui-list.pdf
 【会場】 府中市美術館
     
http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/index.html

 ※巡回無し
 ※ただでさえ良心的な料金なのに、なんとチケットは2回目が半額になる割引券付。
 ※展示作品リストだけではなく画家解説までプリント配布する親切仕様。泣ける。


↓チラシ外側
 山水に遊ぶ展@府中市美術館_チラシ外側.JPG

↓チラシ内側
 山水に遊ぶ展@府中市美術館_チラシ内側.JPG

↓チケット
 山水に遊ぶ展@府中市美術館_チケット.jpg

↓図録
 山水に遊ぶ展@府中市美術館_図録_表表紙.jpg 山水に遊ぶ展@府中市美術館_図録_裏表紙.jpg

↓倉屠龍 「山水図屏風」 を使ったすごろく (の解説とコマ)
 山水に遊ぶ展@府中市美術館_すごろく山水めぐり_左.jpg山水に遊ぶ展@府中市美術館_すごろく山水めぐり_右.jpg 
図録とセットで2500円(単品料金未確認)。
本体は大きすぎるので画像未掲載です。御容赦をば。



展覧会の構成は以下の通り。

■ 山水に暮らす
  ・自然とともに在る
  ・神の国のすがた

■ 絵をつくること
  ・中世の残像
  ・実景と絵すがた

■ 奇のかたち

■ ロマンティシズムの風景
  ・物語る山水
  ・体感する自然、見霽(みはる)かす心地
  ・憧憬


さて、逸品ぞろいの中から、今週末までしか観られない、前期のみ展示作品の御紹介をば。



■ 山水に暮らす /自然とともに在る
  

↓ 熊谷直彦 「騰龍隠雲之図」 個人蔵
 006-⑤-熊谷直彦 「騰龍隠雲之図」 個人蔵.JPG
左双の人物の傘が右双まで吹き飛ばされているという、
遊び心の感じられる双幅。
今の時代、突風を題材に絵を描く人はまずいないだろうけれど、
当時の人々にとってはこういった自然現象すら
神秘的体験だったということだそう。
スローモーションの様に動きを上手く捉えているところが見所。

↓ 小泉斐 「黒羽城周辺景観図」 大田原市黒羽芭蕉の館所蔵
 007-小泉斐 「黒羽城周辺景観図 城西図」 大田原市黒羽芭蕉の館所蔵.JPG
上手いとかどうとかいう前に、ぱんと前が開けた構図が
なんだか印象的だった作品。
自分が高所の突端から風景を眺めているかの様な
臨場感があるといったところだろうか。

↓ 宋紫岡 「楽々園四季真景図巻」 名古屋市博物館所蔵
 012-宋紫岡 「楽々園四季真景図巻」 参 名古屋市博物館所蔵.JPG
これは、現物を観た方が楽しい作品だと思う。
鳥や魚や蓮などの小さい生物を描く筆致がなんともそそられる。
(他の人がそう思うかどうかはわからないけども。)

↓ 伊藤若冲 「石灯籠図屏風」 京都国立博物館所蔵
 014-⑭-伊藤若冲 「石灯籠図屏風」 京都国立博物館所蔵.JPG
いわずと知れた、京博所蔵のお宝。常設展スペース改装の恩恵だろうか。
新印象派の様な技法としての点描ではなく、
写実的に表現する手段としての点描というところがポイント。
若冲の絵にしては珍しく、遠近感による奥行が感じられる。


■ 山水に暮らす /神の国のすがた

 ・・・省略。


■ 絵をつくること /中世の残像

↓ 野崎真一 「富士・三保松原図」 板橋区立美術館所蔵
028-野崎真一 「富士・三保松原図」 板橋区立美術館所蔵.JPG
綺麗な絵なんだけど、雪の描写が独特で面白い。



■ 絵をつくること /実景と絵すがた

 ・・・省略。


■ 奇のかたち

↓ 曾我蕭白 「山水図押絵貼屏風」 京都国立博物館所蔵
044-曾我蕭白 「山水図押絵貼屏風」 右隻・右 京都国立博物館所蔵.jpg 044-曾我蕭白 「山水図押絵貼屏風」 右隻・左 京都国立博物館所蔵.jpg 044-曾我蕭白 「山水図押絵貼屏風」 左隻・右 京都国立博物館所蔵.jpg 044-曾我蕭白 「山水図押絵貼屏風」 左隻・左 京都国立博物館所蔵.jpg
蕭白といえば奇想天外だとか荒々しい筆致だとかのイメージがあるけれど、
晩年は山水画を多く描いたそうで。
前述のイメージとは正反対の流麗な筆遣いによる緻密な画面の美しさは
印刷からでも伺えるけれども、左隻の輪郭線無しで表現された雪や岩肌の質感は溜息もの。
ホンモノ必見。

 ※
下記サイトにて大きなサイズで屏風写真を観ることが可能↓
  http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/san/san.html

↓ 曾我蕭白 「松鶴山水図」 個人蔵
046-曾我蕭白 「松鶴山水図」 個人蔵.jpg
上記作品に同じく。
水面と岩肌を重ねた透明感が目をひく。

↓ 鈴木芙蓉 「那智瀑泉真景図」 飯田市美術博物館所蔵
049-鈴木芙蓉 「那智瀑泉真景図」 飯田市美術博物館所蔵.jpg
壮大なスケールで流れ落ちる那智の滝を大画面で描いた作品。
瀑布が水蒸気の様に立ち上っていく様の中に龍が居た様な、居なかった様な?
(図録の画像では確認出来ず。)


↓ 墨江武禅 「月下山水図」 個人蔵  ※展示期間延長:4月26日(日)迄
063-⑪-墨江武禅 「月下山水図」 個人蔵.JPG
多重構造であるかの様に樹や石が重なりあう様は
どうやって描写していったのか想像も及ばない程不思議な光景。
見入る程に離れられなくなる様な佇まいは堪らない程魅惑的。
これが個人蔵だなんて羨まし過ぎる。


■ ロマンティシズムの風景 /物語る山水

 ・・・省略。


■ ロマンティシズムの風景 /体感する自然、見霽(みはる)かす心地

 ・・・省略。


■ ロマンティシズムの風景 /憧憬

↓ 「富士山・阿育王山・径山寺図」 個人蔵
082-英一蝶 「富士山・阿育王山・径山寺図」 個人蔵.jpg
何がどうってのではないのだけれど、
三幅並んだ姿がなんだかいい、と感じられた作品。


↓ 伊藤若冲 「石峰寺図」
100-⑬-伊藤若冲 「石峰寺図」 京都国立博物館所蔵.jpg
石峰寺境内をモチーフにして、
若冲が同寺に設置した五百羅漢を配置した作品。
(実景を正確に描写したものではない。)
他のブロガーさんが観られてラッキーと仰っていた作品。
一瞬どのあたりが凄いのかわからなかったけど、
よく考えたらこの手の描き方をした作品はそう多くない
(見かけない)かも。
画集などで見かける機会もまずないらしい。
実際の作品の印象はどうかというと、
全体の印象は画像通りだけれど、細部の印象はまた一段と深い味わい。
なんともいえない石仏たちの表情をじっくり観ているうちに
画面に吸い寄せられていた自分に気付いて、
多くの方が絶賛していたのがわかった気がした。
流石は京博、前述の屏風といい、いいもの持ってらっしゃる!
と改めて感心するばかり。



ラッキーなことに、金曜日の午後にいったら、
丁度学芸員さんのギャラリートークが始まったところだった。
色々お話伺いたいところだったのに、トークが終わると風の様に去ってしまった。
以前も質問しようとしたら監視員さん経由のやりとりになって
消化不良になったことがある。
学芸員さんが遠いことだけが惜しい・・・。
(いやまあ、一鑑賞者の勝手な我侭なんだけど。)
しかし、個人蔵やら始めて名前を見る美術館等、
よくもこれだけの作品を見つけてくるものだと関心するばかり。
企画力と選択眼は素晴らしいと思う。


つまり、府中市美術館がオレンジ色で挑んできた時は必見!
前後期でリピート必至、ってことだと思う


nice!(1)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 1

コメント 4

いっぷく

個人的には生まれ育った町なのでうれしい。
でも私が去った後にできた美術館なので入館したことは
ありませんが、力の入った企画をしていますね。
いつか立ち寄ってみたいと思いました。
by いっぷく (2009-04-09 23:43) 

とら

こんにちは。記事に力がこもっていますね。
曾我蕭白 「山水図押絵貼屏風」の拡大画像参考になりました。
来週から後期ですね。楽しみです。

by とら (2009-04-10 09:25) 

m25

>いっぷくさん
一昨年の動物絵画、昨年の南蛮、今年の山水と、
毎年桜の季節にあわせて、気合の入った
日本画の展覧会を企画している様な気がします。
海の向こうから気軽に行ける距離ではありませんが、
いつかいらっしゃるならば、是非桜の季節に。

by m25 (2009-04-10 22:16) 

m25

>とらさん
蕭白 「山水図押絵貼屏風」の画像、いいですよね。
見つけた時は感激しました。
日本画は表装も鑑賞のポイントなのに図録には絵の部分しか
掲載されないので、こういう画像を載せてくれるなんて、
京博有難う!!の気持ちで一杯です。
by m25 (2009-04-10 22:16) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。