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ウィーン美術史美術館所蔵 「静物画の秘密展」展@国立新美術館 [展覧会@西洋美術]

ウィーン美術史美術館所蔵 「静物画の秘密展」展
http://wien2008.jp/

チラシやポスター、看板の目玉作品を見ると
あまり静物画の展覧会っぽくない感じがするけど、
静物画の世界の多様さに触れることが出来る展覧会。
いわゆる有名過ぎる名画のオンパレードとは一味違う、
ウィーン美術史美術館のコレクションの一面を垣間見れるよい機会。

■ 東京展
会場: 
国立新美術館
会期: 2008年7月2日(水)-9月15日(月・祝)
http://www.nact.jp/

■ 仙台展
会場: 
宮城県美術館
会期: 2008年10月7日(火)~12月14日(日)
http://www.pref.miyagi.jp/bijyutu/museum/
 
■ 神戸展
会場: 
兵庫県立美術館
会期: 2009年1月6日(火)~3月29日(日)
http://www.artm.pref.hyogo.jp/

■ 青森展
会場: 
青森県立美術館
会期: 2009年4月~6月

http://www.aomori-museum.jp/ja/


↓チラシ
s-「ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展」_チラシ表.jpg  s-「ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展」_チラシ裏.jpg

↓看板
DSCN8632.jpg


展示室入口。
(写真では黒っぽいけど、壁の色は深緑。)
DSCN8563_2.jpg

ウィーン美術史美術館の荘厳な雰囲気を思い出しつつ、展示室へ。
DSCN8564.jpg  DSCN8565.jpg

※ 展示室内の撮影は主催者様の許可を得ております。



 ≪第1章 市場・台所・虚栄(ヴァニタス)の静物≫

風俗画の中に静物が描かれている作品達の中、
圧倒的な存在感を放つのがこちらのヴァニタス画。

■ アントニオ・デ・ペレダ・イ・サルガド
  『静物:虚栄(ヴァニタス)』 1634年頃/油彩・キャンヴァス

 ph_08.jpg
いやもうこの作品の描写の美しさ、繊細さといったらもう。
静物画をアピールするならこの絵をチラシに使えば
よかったのでは、と思う程の素晴らしさ。

富や名声がどんなにあろうと所詮命には限りがあるんだし、
死んだら何も残らないし無意味だよ、なんて
人生の虚しさ、儚さを啓示するのがヴァニタス画だそうで、
この絵にも骸骨意や時計に貴金属類と寓意に満ち溢れた物が
満載なんだけど、天使の存在がこの作品に独自の雰囲気を
もたらしてるのが印象的。

ヴァニタス画の様な寓意をあれこれ紐解いたりするのも
静物画の楽しみかも。なかなかに奥が深そう。
(富裕層が好んでヴァニタス画を描かせたというパラドックスも
 また興味深し。)

※ この絵に描かれてるものの詳細をお知りになりたい方は、
  公式サイト内コンテンツ、“静物画の秘密を読み解く”をどうぞ。)


今回の展示ではサイズの大きい作品も多くて、
ヤン・バプティスト・サイーフェ(父)
『果物市場(9-10月)』『肉市場(11-12月)』(共に1590年・油彩)
フレデリク・ファン・ファルケンボルフ一世の工房
『花市場(春)』『果物市場(夏)』(共に1610年頃・油彩)
4枚の大作が並ぶ様(下の写真)からは、
風俗画と静物画と人物画が渾然となった様な賑やかさで
季節毎の市場の様子が快活に伝わってくる。
DSCN8568.jpg


■ フレデリク・ファン・ファルケンボルフ一世の工房

  『花市場(春)』 1610年頃・油彩
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 ≪第2章 狩猟・果実・豪華な品々・花の静物≫

いかにも静物画、といった作品になると
写真が負けそうな程の写実性。
どこまで現物に似せるかが腕の見せ所で、
トロンプ・ルイユさながら。


■ コルネーリス・デ・ヘーム
  『朝食図』 1660-69年頃・油彩

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隣にひっそりと、一枚の絵の如く
この絵のイメージが再現されているのだけど、
奥まっているので見逃しがちかも。
DSCN8581.jpg


■ エヴァリスト・バスケニス
  『静物:楽器、地球儀、天球儀』 17世紀/油彩・キャンヴァス

s-ph_06.jpg
↑小さいので写真ではわからないけれど、
俺は埃までリアルに描けるだぞと描写力をアピール。


花も静物の1つということでヤン・ブリューゲル(父)(下写真右)も、
青いパネルでうやうやしく登場。
仲良く並ぶ(下写真)左の絵は、ヤン・ブリューゲル(父)と共に
17世紀初頭の花の静物画4巨匠の一角に名を連ねる
アンブロシウス・ボスハールト(父)
『花束』1609年/油彩・マホガニー板(?)
DSCN8599.jpg


■ ヤン・ブリューゲル(父)
  『青い花瓶の花束』 1608年頃/油彩・オーク板

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華やかさ重視で描かれた花の季節はばらばらだけど、
それが出来るのはデッサンの賜物。
青い花瓶は明時代の磁器。
東洋陶磁を取り上げてくれたのはサービスかなと
思いつつ、この時代から東洋趣味はあったのだなと感心。



 ≪第3章 宗教・季節・自然と静物≫


季節や暦を描いた作品や宗教画を静物が彩ることも。

■ ネーデルラントの画家に帰属
  『春(愛)』 1600年頃/油彩・キャンヴァス

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 ≪第4章 風俗・肖像と静物≫

■ ペーテル・パウル・ルーベンス
  『チモーネとエフィジェニア』 1617年頃/油彩・キャンヴァス

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ちゃんと(?)ルーベンスの作品も持って来てくれてたり。
この絵では静物の代わりに鸚鵡が愛、犬が忠節、猿が愚かさを
表してたりするのだけど、猿と果物はフランス・スネイデルス担当、
背景はヤン・ウィルデンス担当という共同制作。


寓意とくれいえばお説教も忘れちゃいけない(?)。

■ ヤン・ステーン
  『逆さまの世界』 1663年/油彩・キャンヴァス

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そして一番の目玉はVIP待遇で鎮座ましまし。
DSCN8595.jpg

■ ディエゴ・ロドリゲス・シルバ・イ・ベラスケス
  『薔薇色衣裳のマルガリータ王女』

ph_04.jpg
これは見合い写真的な肖像画だけれども、
静物に着目すると、花瓶に差された花は
ピンクの薔薇が少女の愛らしさを象徴し、
マーガレットは名前にちなんでいるのだそう。

顔の描写の細やかに対する衣裳の描写の粗さが
意外だったけど、こうやって小さいサイズで見ると
布の質感がリアルに感じられるのが不思議。
部分2.JPG 部分.JPG
実物を離れて観るよりこういった画像の方が
陰影の深さが伝わりやすいなんて、
サイズが大きいので離れて観る事を計算したのかも
しれないけれど、印刷といえば版画の時代の人なのに、
ベラスケスって何者・・・。


最後に並んだ肖像画の中で、一際目をひいたのが
一際小さな作品(下写真右)。
DSCN8605.jpg


■ オットマル・エリガー(子)
  『高杯を持つ窓辺の女』 1714年/油彩・キャンヴァス

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暗い背景の中で白く浮かびあがる肌の美しさと
ガラスの様に澄んだ青い瞳に深みのある青いドレスの描写。
とても小さい上に周辺部は暗いので単眼鏡が無いと辛い。
もっと近くで観たかった・・・。


今回画像を載せてない作品にも、
ピーテル・ヘリッツゾーン・ファン・ルストラーテン
『ヴァニタス』 17世紀後半/油彩・キャンヴァス

金属製酒杯のあたたかみのある色合いと質感や、

フィリップ・フェルディナント・デ・ハミルトン
『豹と禿鷲』 1722年/油彩・キャンヴァス

猫の様な豹に
フランツ・ヴェルナー・タム
『猟犬と獲物』 1706年/油彩・キャンヴァス

得意げに上目遣いで見つめる犬のかわいさ、
レアンドロ・ダ・ポンテ(通称レアンドロ・バッサーノ)
『6月』 1580年代/油彩・キャンヴァス

農場の上を飛ぶ黒い海老(ザリガニ?)の謎等、
さり気ない見所満載。
写実的な描写の細やかさを堪能しつつ、
寓意の謎解きや想像が楽しめた。

特に謎解きは他の人の知識や意見を聞きながらだと
自分ひとりで観るより断然掘り下げられるのでとても興味深かった。
これも今回展覧会鑑賞にお誘い下さったTakさんと、
ご一緒して下さった皆様のおかげ。
この場を借りてお礼申し上げます。有難うございました。


出口ではグッズも各種取り揃えてます↓
DSCN8607.jpg

 

今回は単独で鑑賞したけれど、
全く味わいが異なるエミリー・ウングワレー展と
セットで観ると、どんな風に感じられるんだろう。
DSCN8612.jpg


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山桜

今晩は、プレヴューでご一緒した山桜です。
ホント、ペレダのヴァニタスをポスターにすべきだったに同意です。
静物画展なのに人寄せマルガリータちゃんだなんて、気の毒ですよね。

再現コーナー撮影、チャレンジャーですね~ 自分が写り込みそうで
止めたのですが、m25さんのブログの写真の中にしっかり私が写って
いるのを発見しちゃいました(。。;)
by 山桜 (2008-07-09 23:45) 

kyou

色々と発見のある展覧会で、楽しかったですね。
西洋では狩猟というのが、狩猟画を含めて文化なのだと感じました。
by kyou (2008-07-10 01:38) 

m25

>山桜さん
映ってらしたのですか。
小さいサイズでガラスに反射、でしたので気付いてませんでした。すみません。
チャレンジャーと仰って頂きましたが、ガラスが反射する場合は自分が
映らない様努力しています、ごめんなさい・・・。(重ね重ねすみません。)
差し替えた方が宜しいでしょうか?

そしてペレダのヴァニタス。もう皆さん必ず取り上げてらっしゃいましたよね。
人寄せもサービスなんだろうな、と納得するところがあるのですが、
ペレダのヴァニタスで充分人も呼べるし展覧会のイメージも伝わるだろうに、と思います。
3年前にウィーン美術史美術館に行ったのですがブリューゲルに舞い上がっていて
この作品を観たかどうかわからないので、今回観ることが出来て嬉しかったです。
by m25 (2008-07-10 21:43) 

m25

> kyouさん
ほんと、1人で観ていたら、写真みたいですごい技術だなーで
終わっていたかもしれませんので、人と一緒に観ることでとても味わい深くなってラッキーでした。

狩猟画、文化まで思い至っていなかったのですが、
確かに狩猟の成果を描いてる作品も多かったです。
同じ肉でも死体よりもご馳走もしくは生きてる姿の方が・・・と思っていたのですが、
西洋ならではの文化として見ると、また色々なものの見方や世界が広がりそうですね。
by m25 (2008-07-10 21:50) 

山桜

いえいえ、こちらこそ何か失礼な物言いになってしまってすみませんでした。
流石にガラスの映りこみは自分が入らないように気をつけますよね^^;
私が写ってしまっているのは、その写真ではありませんのでご安心
下さい。 どの写真にと言っては薮蛇なのでそっと時の流れの中に
埋没させてしまいましょう・・・ 
どうぞ、お気になさらずに。 却ってちょっと嬉しかったくらいですから^^
by 山桜 (2008-07-12 12:40) 

いっぷく

ベラスケスはダリがすべてに渡って満点をつけるほど評価していますね、彼の技を盗んだというのは言い過ぎかもしれないけれど宮廷画家だったベラスケスはマルガリータ王女も描かれたプラド美術館にある「ラス・メニ-ナス」の構図をダリは頂いてますね。
(ガラに置換えて絵筆を取っているダリ自身が描かれている絵。これは画集でよく見かけます)
静物画といってもそうとう広く奥が深いですね。

by いっぷく (2008-07-12 18:15) 

m25

>山桜さん
いえこちらこそ、自分で撮った写真なのに違う写真の話だと気付かず
お恥ずかしいです・・・。
いっそとらさんの様にこれぞお手本、といった感じで撮れてたらよかったのですが、
今回張り切ったわりには会場風景はどれもいい感じにとれておらず、
まだまだ修行が足りないと反省しました。
by m25 (2008-07-12 23:02) 

m25

>いっぷくさん
ベラスケス、直に観た時には筆致の粗さが妙に気になってしまって、
あとから画像で観てすごいかも・・・と思った自分の鈍さにとほほ・・・です。
静物画、表面だけ撫でるか掘り下げるかで楽しめるかどうかが
随分違います。予想以上に楽しめました。
by m25 (2008-07-12 23:02) 

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