「20世紀の巨匠たち」展@大丸東京 [展覧会@写真]
「写真」とは何か。 20世紀の巨匠たち 美を見つめる眼 社会を見つめる眼 展
超有名どころから、自分が知らなかっただけの巨匠まで、
広く浅くながらも、ざっと写真界の流れを一望出来る写真展。
作家毎の解説を書いているところからすると、
九州産業大学の平木収教授の監修と思われる。
既に梅田で観てるんだけど、ミュージアムパスを折角買ったので
東京展にも足を運んだら、東京展では、会場出口とグッズ売場の脇の
小スペースで「20世紀、15の瞬間」展もひっそりやっていた。
東京展はもうすぐ終わりだけど、次はどこか巡回するのだろうか。
■ 東京展
会期:2008年4月3日(木) ~ 4月21日(月):会期中無休
会場:大丸ミュージアム・東京
http://www.daimaru.co.jp/museum/schedule/tokyo/index.html
■ 大阪展
会期:2008年2月27日(水) ~ 3月17日(月)
会場:大丸ミュージアム・梅田
・大丸ミュージアムサイト
http://www.daimaru.co.jp/museum/
□ 出品作家は、以下14名。
ルイス・ハイン(1874~1940)
マン・レイ(1890~1976)
エドワード・ウエストン(1886~1958)
アンドレ・ケルテス(1894~1985)
ロバート・キャパ(1913~1954)
W.ユージン・スミス(1918~1978)
ウイン・バロック(1902~1975)
ウイリアム・クライン(1928~)
アンセル・アダムス(1902~1984)
アービング・ペン(1917~)
エルンスト・ハース(1921~1986)
ヘルムート・ニュートン(1920~2004)
アンディ・ウォーホル(1928~1987)
ロバート・メイプルソープ(1946~1989)
(展示順)
チラシ↓
チケット↓
※チラシ、チケットに使われたのは、W.ユージン・スミスの「楽園への歩み」。
一部をのぞき、1作家の作品は同じ所蔵先のもので統一。
所蔵先が明記されているものは全て国内所蔵で、
コレクションの豊富さを再認識したり、
今まで知らなかった館が持っていることに感心したり。
マン・レイもよく見かける作品が出てるので、好きな方は
東京都写真美術館で開催中の「シュルレアリスムと写真 痙攣する美」展と
併せて観るのもよいかも。
写真家でないアンディ・ウォーホルが撮ったポートレイが
並べてあったのも興味深いところ。
最後がメイプルソープで締めくくられてるのには、なんだかしみじみ。
おなじみのリサ・ライオンのヌードに花とモノクロの作品がメインだけど、
一番最後に数点、カラー版モノクロというかセピアというか、
独特の雰囲気を持った作品があったけど、こういうのは初めて観たので、
手法とかもうちょっと詳細な解説が欲しかったところ。
惜しむらくは、図録が作られていなかったこと。
所蔵元に所蔵目録があるかもしれない○○美術館展より、
こういう展覧会こそ、記録として図録が欲しいのに。
図録がないなら、せめて作品リストぐらいは作っておくべきではないかと。
この点は非常に残念。
グッズ売り場で売ってる絵葉書も、大半が展示されていない作品だし・・・。
あと、チラシと会場のキャプションでタイトルや作家名の表記が異なるのも、
混乱するから統一して欲しいもの。
満足のあとの不満が残る展覧会だったけど、嬉しかったことも。
ミュージアムパス保持者が入場する際に、チケット半券を手渡してくれるんである。
紙好きとしては、チケット半券を入手出来ないであろうと思われる
各美術館の友の会は気になりつつも入会を躊躇うので、こういうサービスはとーっても嬉しい。
(今回はかなりお得なパスだったので例外的に手を出しただけに、嬉しさ倍増。)
なので今後のサービス向上に期待したい。
宜しくお願いします、大丸さん。
ちなみに、「20世紀、15の瞬間」展は、
ニュース、技術、環境、スポーツ、時の人、エンターテイメントの分野まで
広くカバーする20世紀のもっとも有名な画像コレクションを持つベットマン・アーカイブから
表題の通り15の作品が展示されている。
作品チョイスの基準はいまいち不明だけど、なかなか面白い写真も。
出品作品の展示リストが欲しかった方もいらっしゃるかもしれないので、
メモ書きレベルですがご参考までに掲載しますので、下の“続きを読む”をクリックして下さい。
レイアウトが崩れる場合もあるかもしれませんが、どうぞご容赦下さい。
(もし誤記載があれば、ご一報頂ければ幸いです。)
■■ 20世紀の巨匠たち展 ■■
【ルイス・ハイン(1874~1940)】
・紡績工場で働く少女 (1908~1910年頃/清里フォトミュージアム蔵)
・若い炭坑夫。現在では17歳以下の少年が炭坑で危険な労働にあたることは禁止されている。
ウエスト・ヴァージニア州にて (1908年頃/清里フォトミュージアム
・デラウエア州にて (1910年/清里フォトミュージアム蔵)
・紡績工場で働く少年たち (1910年頃/清里フォトミュージアム蔵)
・マサチューセッツ州フォール・リヴァーの紡績工場にて働く少年たち。
少年たちはひとりも自分の名前を書けず、英語もほとんど話せなかった (1912年頃/清里フォトミュージアム蔵)
・ドイツ人の兄弟。ニューヨーク州オーロラの亜鉛工場にて (1912年頃/清里フォトミュージアム蔵)
【マン・レイ(1890~1976)】
・マルセル・デュシャン (1919年/横浜美術館蔵)
・マルセル・デュシャン (1919年/横浜美術館蔵)
・剃髪(マルセル・デュシャン) (1919年/横浜美術館蔵)
・アングルのヴァイオリン (1924年/所蔵先記載無)
・白と黒 (1924年/所蔵先記載無)
・ソラリゼーション (制作年/所蔵先記載無)
【エドワード・ウエストン(1886~1958)】
・盲目のひと (1922年/清里フォトミュージアム蔵)
・ニール (1925年/清里フォトミュージアム蔵)
・人生 (1925/26年/清里フォトミュージアム蔵)
・乾いたケルプ (1934年/清里フォトミュージアム蔵)
・侵食された岩 (1935年/清里フォトミュージアム蔵)
・妖精は必ずいる (1913年/清里フォトミュージアム蔵)
【アンドレ・ケルテス(1894~1985)】
・マルティニックにて (1972年1月1日/横浜美術館蔵)
・エリザベス、パリ (1931年/横浜美術館蔵)
・ディストーション、パリ (1933年/横浜美術館蔵)
・はぐれ雲、ニューヨーク (1937年/横浜美術館蔵)
・プロムナード、ニューヨーク (1962年/横浜美術館蔵)
・レンガの壁 (1961年/横浜美術館蔵)
・壊れたベンチ、ニューヨーク (1962年/横浜美術館蔵)
・帰路につく船 (1944年/横浜美術館蔵)
・扇風機 (1937年/横浜美術館蔵)
【ロバート・キャパ(1913~1954)】
・撃たれるスペイン共和派兵士、コルドバ付近 (1936年9月5日頃/横浜美術館蔵)
・日本軍の空襲をうけた女性、漢口 (1938年7~9月/横浜美術館蔵)
・ドイツ兵士の子供を産んで頭を剃られたフランス女性、シャルトル (1944年8月18日/横浜美術館蔵)
・パリ (1944年8月26日 解放の日/横浜美術館蔵)
・到着したばかりの移住民のためのキャンプ、ハイファ(イスラエル) (1950年/横浜美術館蔵)
・パブロ・ピカソとフランソワーズ・ジロー、リビエラ (1948年/横浜美術館蔵)
・キャパが撮った最後の作品、ヴェトナム (1954年5月25日/横浜美術館蔵)
【W.ユージン・スミス(1918~1978)】
・サイパン島山間部で、アメリカ兵に発見された、怪我をして瀕死の幼児 (1944年6月/清里フォトミュージアム蔵)
・米軍の発煙手投げ弾攻撃に、サイパン島山間部の自然洞窟から追い立てられる民間邦人
(1944年6月/清里フォトミュージアム蔵)
・第二次世界大戦・太平洋戦線、タラワ (1943年11月/清里フォトミュージアム蔵)
・第二次世界大戦・太平洋戦線、レイテ (1944年11月/清里フォトミュージアム蔵)
・第二次世界大戦・太平洋戦線、沖縄侵攻 (1945年/清里フォトミュージアム蔵)
・第二次世界大戦・太平洋戦線、沖縄侵攻 (1945年/清里フォトミュージアム蔵)
・楽園への歩み (1946年/清里フォトミュージアム蔵)
・細菌のない世界 (1946年/清里フォトミュージアム蔵)
・スペインの村 (1950年/清里フォトミュージアム蔵)
・看護婦 (1951年/清里フォトミュージアム蔵)
・季節労働者 (1953年/清里フォトミュージアム蔵)
・慈悲のひと、シュヴァイツァー (1954年/清里フォトミュージアム蔵)
・ハイチ (1958/59年/清里フォトミュージアム蔵)
・ハイチ (1958/59年/清里フォトミュージアム蔵)
【ウィン・バロック(1902~1975)】
・森の中の子供 (1951年/清里フォトミュージアム蔵)
・そこに光あれ (1954年/清里フォトミュージアム蔵)
・指標なき航海 (1957年/清里フォトミュージアム蔵)
・丸太とトクサ (1957年/清里フォトミュージアム蔵)
・森の道を歩く子供 (1958年/清里フォトミュージアム蔵)
・鳥 (1958年/清里フォトミュージアム蔵)
・光の写真 (1963年/清里フォトミュージアム蔵)
・海岸 (1966年/清里フォトミュージアム蔵)
・フォトグラム (1970年/清里フォトミュージアム蔵)
・岩 (1973年/清里フォトミュージアム蔵)
【ウィリアム・クライン(1928~ )】
・東京-アルバム 銀座で (1961年/清里フォトミュージアム蔵)
・東京-儀式 議事堂内の委員会風景 (1961年/清里フォトミュージアム蔵)
・東京-儀式 モダンダンサーのグループの街頭リハーサル (1961年/清里フォトミュージアム蔵)
・東京-儀式 街頭で気勢をあげるデモ隊 (1961年/清里フォトミュージアム蔵)
・東京-儀式 パチンコホール (1961年/清里フォトミュージアム蔵)
・東京-儀式 モダンダンサーのグループの街頭リハーサル (1961年/清里フォトミュージアム蔵)
・東京-儀式 カクテルパーティのおえらがた (1961年/清里フォトミュージアム蔵)
・東京-儀式 株式取引所 (1961年/清里フォトミュージアム蔵)
・東京-儀式 街頭風景 (1961年/清里フォトミュージアム蔵)
・東京-アルバム あるモデルのアパート (1961年/清里フォトミュージアム蔵)
・東京-儀式 街頭風景 (1961年/清里フォトミュージアム蔵)
【アンセル・アダムス(1902~1984)】
・アスペンの木 (1958年北海道立釧路芸術館蔵)
・ジェリー・シャープ (1958年北海道立釧路芸術館蔵)
・トム山の日の出 (1948年頃/北海道立釧路芸術館蔵)
・中庭のアーチ (1968年北海道立釧路芸術館蔵)
・墓地の彫刻と油井 (1939年北海道立釧路芸術館蔵)
・教会の内部 (1952年北海道立釧路芸術館蔵)
・板とアザミ (1932年北海道立釧路芸術館蔵)
・木の切り株と薄霧 (1958年北海道立釧路芸術館蔵)
・白い枝 (1950年北海道立釧路芸術館蔵)
・納屋 (1976年頃/北海道立釧路芸術館蔵)
【アービング・ペン(1917~ )】
・ガラス職人、パリ (1950年/清里フォトミュージアム蔵)
・煙突掃除人、ロンドン (1950年/清里フォトミュージアム蔵)
・マルセル・デュシャン、ニューヨーク (1948年/清里フォトミュージアム蔵)
・3人のダオメールの少女 #1 (1967年/清里フォトミュージアム蔵)
・「キャメル」のパッケージ、ニューヨーク (1975年/清里フォトミュージアム蔵)
・ボートから釣り糸を垂れるふたりの男 フランス、マルヌ川にて (1966年/清里フォトミュージアム蔵)
・ヘルス・エンジェルのダグ、サンフランシスコ (1967年/清里フォトミュージアム蔵)
【エルンスト・ハース(1921~1986)】
・The Creation-スルエス火山、アイスランド (1965年/所蔵先記載無)
・The Creation-トバコの波、カリブ海 (1968年/所蔵先記載無)
・The Creation-アリゾナ (1962年/所蔵先記載無)
・The Creation-シシリー、イタリア (1965年/所蔵先記載無)
・雨にうたれる花、ナイロビ、ケニア (1970年/所蔵先記載無)
・The Creation-滝、九州、日本 (1981年/所蔵先記載無)
・The Creation-フラミンゴの飛翔、ケニア (1970年/所蔵先記載無)
・The Creation-濡れた葉っぱ、ヴァーモント州 (1969年/所蔵先記載無)
・The Creation-アワビの貝殻、カリフォルニア州 (1970年/所蔵先記載無)
・The Creation-草を食べるインパラ、ケニア (1970年/所蔵先記載無)
【ヘルムート・ニュートン(1920~2004)】
・エルサ・ペレッティ、ニューヨーク (1975年/横浜美術館蔵)
・オフィス・ラブ、パリ (制作年記載無/横浜美術館蔵)
・ジェーン・カーヴィ、クレベール街、パリ (制作年記載無/横浜美術館蔵)
・マヌカン、オルセー通り、パリ (制作年記載無/横浜美術館蔵)
・室内、ニース (制作年記載無/横浜美術館蔵)
・通り、パリ (1975年/横浜美術館蔵)
・宣伝のための作品、ドイツ(原題不詳) (制作年記載無/横浜美術館蔵)
【アンディ・ウォーホル(1928~1987)】
・ムハメド・アリ (1977年/横浜美術館蔵)
・クリス・エバート (1977/78年/横浜美術館蔵)
・ヘンリー・ゲルツァーラー (1976年/横浜美術館蔵)
・デビー・ハリー (1980年/横浜美術館蔵)
・グレース・ジョーンズ (1984年/横浜美術館蔵)
・シルベスター・スタローン (制作年記載無/横浜美術館蔵)
・キース・ヘリングとジュアン (制作年記載無/横浜美術館蔵)
【ロバート・メイプルソープ(1946~1989)】
・リサ・ライオン (1981年/横浜美術館蔵)
・リサ・ライオン (1981年/横浜美術館蔵)
・リサ・ライオン (1981年/横浜美術館蔵)
・一輪の蘭 (1982年/横浜美術館蔵)
・極楽鳥 (1984年/横浜美術館蔵)
・無題(モーヴ・カトレア・オーキッド) (1988年水戸芸術館蔵)
・無題(ベージュ・ローズ) (1981年水戸芸術館蔵)
・無題(ポピー) (1988年水戸芸術館蔵)
・無題(モーヴ・カラー・リリー) (1988年水戸芸術館蔵)
・無題(モーヴ・スポッテッド・オーキッド) (1988年水戸芸術館蔵)
■■ 20世紀、15の瞬間 ■■
・飛行中の複葉機の翼の上でテニスをする人たち (1925年/アメリカ)
・パリ上空、チャールズ・リンドバーグの“Spirit of Saint Louis”(セントルイスの魂号) (1927年/パリ)
・建設中の工事現場で昼食をとるニューヨークの建設労働者 (1932年/アメリカ)
・ラジオに耳を傾ける家族 (1932年)
・ニューレンバーグ、ナチスの党の集会で演説をきいている軍人 (1936年)
・ニュージャージー州のレイクハーストで着陸しようとして爆発したヒンデンブルグ号 (1937年/アメリカ)
・マンハッタン、クライスラービルの近くのビル屋上で日光浴をする女性 (1938年/アメリカ)
・ニューヨークで行われたゼネラルモータースの展示会を見学する人たち (1939年/アメリカ)
・ジェイコブ・ストリートで硬貨を探す少年たち (1940年代/アメリカ)
・Bristol(車)とエッフェル塔 (1940年代頃)
・ミシガン・セントラル駅でキスをするカップル (1944年/アメリカ)
・高層の足場から馬に跨り、果敢にジャンプする女性 (1945年/アメリカ)
・風に飛ばされた帽子を追いかける男達 (1950年頃/アメリカ)
・模型のジェット機の機内とスチュワーデス (1956年)
・アポロ12号の飛行士アラン・ビーンズが月面の土壌サンプルを採集する様子
撮影:チャールズ・ビート・コンラッド(アポロ12号船長) (1969年)
写真に付けられた題名からあの写真だと想像のつく写真はいくつか
ありますが、本で見る写真と同じ写真でも写真展に足を運んで見るのは
訴える力強く、全然違いますね。
by いっぷく (2008-04-18 23:41)
>いっぷくさん
日本語のタイトルだけでも想像がつくなんて凄いです。
百聞は一見に如かずなのに、画像が載せられないのが残念です。
写真集でゆっくりマイペースで観るのもいいですが、
印刷と実物の差は大きかったりしますし、
仰る通り、作品そのものの力、味わいってありますよね。
ところでイギリスではどんな写真家が人気があるのでしょうか。
(実はイギリスで写真家といえば誰だろう、と思ったのですが、
浮かびませんでした・・・。)
by m25 (2008-04-21 23:30)